女子作家三人旅「ねえさんずの怪」魔界温泉ツアーNO3

すみません〜昨夜は忙しすぎて更新できず。でも、日輪ねえさんのツアー写真が届いたので、魔界温泉ツアーのNO1、NO2の写真を更新しました。
魔界温泉ツアーが、ますますリアリティを増して迫ってくるはずです〜(迫ってほしくない向きもあろうかと思いますが…)
さて、ついに開かれた魔界のドア。
「ゑ●すや」さんの続きです。
ゑ●すやの従業員の中年女性は、「何の用だ」とでもいうように、ヒロ子ねえさんの前に立ち塞がりました。
玄関のガラスドアから、その様子はよく見えます。その制服女性は仲居さんなのかどうか、ともかく、玄関マットの掃除をされていたみたい。
その瞬間を、再現するとこんな感じ。
ヒロ姉 「…あの、松本清張先生の書斎を見せていただくことって、できますか……?」
ゑ●仲 「あ、うちに宿泊されている方でないとだめなんで、無理です!(間髪いれず即答)」
ヒロ姉 「う、あ、そ、そうですか……」
   出鼻にパンチを繰り出され、おもわず後ずさるねえさん。
ゑ●仲 「そういうことなんで」
   と、玄関マットを持ちあげ、ねえさんの前でバッサバッサと泥を払う、ゑ●仲居さん。
   どうやら、掃除のじゃまってことらしい。
まあ、ふいに訪ねたのだから、書斎が見られなくても仕方ないですが(とはいえ、客商売ならもうちっとやりようもあるかと…)、客の目前で泥マットをバッサバッサやるのはどうよ。
「そういう決まりなんで、すみませんねえ」ぐらいはいっても、罰は当たらんだろうが。
「せっかく雨の中を来てもらったので…」って、パンフレットぐらい、くれてもいいだろうが!
と、怒ったのはずっと後のこと。
その時は、そっか、だめなんだ〜と、あっさり帰ろうとしたねえさんがたを引き留め、「旅館は意地悪でも、清張先生は悪くない! ほら柏手、ぽんぽん」と合掌。
だって、清張先生の印象まで悪くしたくなかったから。
あっさり追い払われた私たちは、もわあ〜っと、黒い何かが立ちこめているような「ゑ●すや」をあとに、また土砂降りのなか、駅へ……
駅に着くと、びしょぬれ。
「うお〜 帽子に水がたまっとる!」という叫びと共に、日輪ねえさんのジャケ帽から、柄杓で汲んだような水がバシャリと飛び散りました。
これを、ねえさんずは、温泉ツアー第二次水難事件と命名
←ここで、箸やすめにどうぞ。
「ゑ●すや」さんではなく、天国だった「花御前」さんのスナップを一枚。
純和風の旅館に、ワインクーラーとピアノ、素敵だ。
もとい、続きです。

若おかみは小学生!PART14 花の湯温泉ストーリー (講談社青い鳥文庫)
ちなみに、ヒロ子ねえさんの『若おかみは小学生』シリーズには、魔界旅館や魔界の客などが登場しますので、近く、黒仲居が登場するかもしれません。
さてさて、ゑ●すやに行ったがために、一時間も待ち時間ができてしまい、ならばと、駅の待合でコートを乾かしてから、列車へ。
そして、タクシーに乗り替え、今日のお楽しみ「あ●わいの郷」へ。
ここまで読んで下さった方にはわかるでしょうが、●伏字があるということは、つまりそういうことですが、まあそれはおいといて。
しかし、ここで、ヒロ子ねえさんは、ゑ●すやの体験で、本日のツアーに嫌な予感を感じたらしく、行きに乗ったタクシーの運転手さんに「あ●わいの郷からの帰りも、迎えに来てもらえますか」と交渉。
「だって、行くには行ったが、帰りの足がなかったら、列車に乗り遅れるから」と、冷静沈着、魔界慣れしたヒロ子ねえさん。
そして、ついに着きました!
「あ●わいの郷」です!
大自然で生きる仲間たち、ポニーに乗馬できます。羊、ミニブタ、ヤギ、ワラビ−、ウサギ、リクガメ、 フェレット、モルモット、モモンガとふれあえます。
チューチュートレイン ・ゴーカート・おもしろ自転車・パターゴルフ・バッテリーカー・芝すべりもできます。
ランチバイキング開催!自家製品&丹後の食材のコラボバイキング。地元野菜を中心に自家製品のソーセージ・ハム・ベーコンなどメニューがたっぷり。もちろんデザートも充実。
……なんて素敵なところ「あ●わいの郷」。
しかも、あのフェレットにさわれるなんて素敵〜と、盛り上がってやってきました。
「ちゃんと、割引チケットを持ってきたのよね〜」と、ヒロ子ねえさん。
し、しかし、タクシーを一歩出ると、傘が飛ぶような雨風。
しかも、人っ子一人いない……
「じゃ、また二時に来ますから〜」
タクシーは去って行きました。
「だ、だいじょうぶか?」
「こんな嵐みたいな日に、開いてるのか?」
不安がりながら、入り口まで行ってみると、びゅんびゅん吹きすさぶ雨風の中、「本日無料」の張り紙が……!
「無料? まあ、無料ならいいか。せっかく割引チケット持ってきたけど……」と、ヒロ子ねえさん。
フェレットフェレット〜♪」
日輪ねえさんは、フェレットに触れるのが一番の楽しみ。
「わたしなんか、フェレットをこうして首に巻くように肩にのせる、練習してきたんよ」と、ヒロ子ねえさん。
「あ●わいの郷」の門柱をくぐると、「来年はうさぎ歳。ウサギちゃんと記念写真をどうぞ〜」なんて、貼り紙もあり、日頃ストレスをためている女子作家の癒されたい気持ちは高まります。
「子どもしかポニーに乗れないのは残念ねえ」とか、乙女しゃべりをしつつ、園内に入ってやっと、異様な雰囲気に気がつきました。
 玄関同様、園内にも、人っ子一人いないのです。
「なんじゃ〜っ、これは!?」日輪ねえさんが声をあげたのは、お知らせ板の前。
日輪姉 「芝すべり以外、全イベント中止だとぉ〜っ!?」
ヒロ姉 「さすが、無料やね」(冷静なヒロ姉)
わたし 「いや、むしろ、無料でないと、暴動がおこるやろが」
日輪姉 「し、しかし…なんの理由があって、芝すべりだけ、やっとるんじゃ? この土砂降りの中、だれが芝すべりをする。わけわからん〜」
わたし 「よくすべるってか?」
ヒロ姉 「……う〜む、やっぱり。みなの衆、こころせよ。まだ魔界は続いている……」
真顔でいうヒロ子ねえさんに、ハッとする日輪ねえさんと私。
そういわれて見渡すと、カラフルなチューチュートレイン は人影もなく雨風にうたれているし、いつもは動物を放し飼いにしているだろう牧場にも、園庭にも、数ある建物のどれもがシーンとして、人や動物の気配もない。
「待て、しばし。館内の動物はいるんじゃないの、フェレットとか……」と、日輪ねえさん。
「そうやね〜 さわれるかなぁ」
と、乙女心を取り戻したねえさんず、いそいそ動物館へ。
やがて、小屋みたいなところに「フェレット」の案内が!
喜んで行くと、ここも人影なし。
中には入れたが、そこはまったくの小屋。
ハムスターとリスのような生き物、フェレットらしい生き物、陸ガメが深き眠りについておりました。
さわれるといっても、ハムスターは深い金網の中で手が届かず、リスらしい生き物も、フェレットらしい生き物もまるまって、触れても石のごとく動かず。
さらに陸ガメの甲羅には、「持ちあげたり、上に乗ったりしないでください」と貼り紙が……。
←貼り紙をされた陸ガメくん
日輪姉 「なんも、甲羅に貼らんでも…」
わたし 「カメのプライドを踏みにじるような行為ではないか」
ヒロ姉 「ねえねえ、このフェレット、どこが顔? 全然動かないんやけど。せっかく、肩にのせる練習してきたのに」
わたし 「まあ、これがフェレットかどうかもわからんが……」
日輪姉 「まるで毛玉だ」

←毛玉フェレットくん

とうとう、私たちは、毛玉フェレットくんに、顔を見せてもらうのもあきらめて、小屋を出ました。
「そういや、うさぎはいなかったね」
いいつつ、ふと見ると、
「うさぎは、老衰のため他界しました」


と貼り紙。


日輪姉 「た、他界!? どういうこっちゃ。表に、うさぎと記念写真を撮ろうとか、書いてあったのでは!?」
ヒロ姉 「なんで、表の看板を外しておかんの!?」
わたし 「いや、むしろ、なんで、うさぎが一匹しかおらんのや!? こんな大きな施設で……」
しばし、茫然。


「しゃあない。もう、屋根のあるとこで、何か食べよう〜」ということになって、レストラン施設へ。
し、しかし、ここでも……
わたし 「ね、あの大きなレストラン。誰もいいひんけど?」
日輪姉 「……っちゅうか、なんで開け放してあるんじゃ。風がびゅうびゅう吹き込んどるぞ」
ヒロ姉 「なにより、電気が点いてるの、あれ? 薄暗いんですけど……」
日輪姉 「いかん、全員回避!!」
その時、三人の頭に浮かんだのは、かの黒い霧がもわんとただよっていたようなゑ●すやさんでした。
そんなわけで、もう一軒のレストランへ。
しかし、そこはバイキングと書かれてありました。

迷っていると、「一品もありますよ〜」と、にこやかなウエイトレスさんが。
即、入店。
この日、唯一の正解はこのレストラン。
一品のソーセージも、うどんも、天ぷらも安くて美味しかったです。


し、しかし。
売りのはずのバイキングは……

空っぽ。
「一品もありますよ〜」じゃなくて、一品しかなかったのね、ウエイトレスさん…
まあ当然です、客は私たちだけみたいなもんですから。



きっと、土日とかはにぎわうのでしょうし、あ●わいの郷全体の印象も変わるのでしょうね。
けれど、もう、この日は、もうどこへ行く気も失せて、残りの時間はそこでおしゃべり。
このレストランは貸し切り状態でしたが、居心地が良かった〜
二時前になって、「あ●わいの郷」を出ると、ちょうど、傘をさした運転手さんがやってくるところでした。
「ああ、お迎えに来ました〜」と、運転手さん。
「あ、すみませーん」と、ヒロ子ねえさんの声も華やぎます。
「あ、いやいや。まだ早いんですが……」と、ニコニコする運転手さん。
車を停車できるのは石段下、それなのに、運転手さんは雨の中を、車を出て石段を上がって、わざわざ私たちを迎えに来て下さったのです。
その時、私たちの目には、傘を手にした運転手さんが、白い羽の天使に見えました。
魔界に降り立ち、私たちを救いだしてくれる慈愛深い大天使さまに……。
いや、メリーポピンズ男性版といってもいい!
天国の花御前を出てから、いつの間にか魔界をさまよっていた私たちは、暖かいタクシーに乗って、運転手さんの優しい笑顔と心遣いに癒され、ほっとしました。
それにしても、この日の「あ●わいの郷」、黒まるで一字抜くと、案外ぴったりのネーミングになりました。
「あわいの郷」……きっと、私たちは、この日、魔界のタイムスポットに堕ちたのです。
ゑ●すやさんだって、もしかしたら、たまたま、あの仲居さんの虫の居所が悪かっただけかもしれないし。
まあ、魔界というのは、そういう「あわい」の世界に出現するものなのです。
ここでは、地獄で仏の、レストランと運転手さんに感謝を申し上げます〜♪

とまあ、書き疲れたので、明日につづくかどうか…