『僕とおじいちゃんと魔法の塔』香月日輪

僕とおじいちゃんと魔法の塔(4) (角川文庫) 僕とおじいちゃんと魔法の塔(3) (角川文庫) 僕とおじいちゃんと魔法の塔(2) (角川文庫) 僕とおじいちゃんと魔法の塔(1) (角川文庫) 
岬にたたずむ黒い塔。まるでお化け屋敷のようなその塔は、鎖と南京錠で封印されているはずだった。だけど、ある日、塔に行ってみると…!? 出会いが、僕の決まりきった生活を変えていく―。運命を変えられた僕のびっくりするような毎日がはじまった。amazon内容紹介より)

角川文庫でバカ売れているという、『僕とおじいちゃんと魔法の塔』を読んでみました。
1巻では、主人公の龍神(たつみ)は、まだ小学五年生。
なんとなく家族とうまくいってない龍神は、一度だけお父さんに連れていってもらった岬の黒い塔へ向かっていました。そこは、亡くなったおじいちゃんが住んでいた家。堅実な生き方の父と違って、自由奔放で芸術家だったという亡くなったおじいちゃん、そんなおじいちゃんと不思議な黒い塔に、龍神は心惹かれていたのです。


「はじめまして、おじいちゃん。龍神です」
そう声をかけたとたん、
ギ、ギィィィーッ
門が勝手に開いて、花々に美しく彩られた庭には、赤いバンダナを巻いた黒髪の若い男が立っていた……


そこから始まる物語は、もう、一気に読めます。おじいちゃんの家、岬の黒い塔の不思議と魅力に引き込まれていくのは龍神だけではなく、読者も否応なく引っ張り込まれます。
家族とうまくいっていない小学五年生の現実と、黒い塔があらわしてくる不思議の数々を、龍神は等分に受け止め、現実から逃げたりはしません。
そのあたりの潔さが、読んでいて、きっぱりと心地よいのです。大人を説得できるエンターティンメントとでもいいましょうか。さすがです。
実は、この物語、最初は一冊で完結の予定だったとか。ところが人気が出てしまって、売れに売れてしまったため、続刊が出ることに…
そこで、2巻から、龍神は高校生に成長して、仲間も増え、物語の魅力はさらにグレードアップします。
黒い塔にあらわれる異界の者たち(幽霊、使い魔、魔女etc)の中では、私的なお気に入りは、ふだんは犬にしか見えないギルバルス
犬のくせに、片目に眼帯をして、煙草を吸いやがります(おっさん萌えにはたまりません〜)。
お好みによっては、完全無欠の美青年も、ゴスロリ美少女も登場しますよ。
でも、このシリーズでは、このあと、何が出てくるかわかりませんし、結末もまだわからないのです。
私が読んだのは4巻まで。もう、5巻が出ているかも…