【脱原発を考えるペンクラブの集い】報告その1

日本ペンクラブから「P.E.N.vol.412」が届きましたので、本日はパリ、ベネツィア、ローマ旅行記をお休みします。
そのうちの「脱原発を考えるペンクラブの集い」での、各氏の発言。
日本ペンクラブでは、2012年3月9日に福島、4月17~23日にチェルノブイリ視察団を送っています。
その両方に参加した中村敦夫環境委員長は、そう、あの「木枯らし紋次郎」さんです。十代の頃、撮影所で毎日共演していた(私は吹き替えや、ちょい役ですが)あの敦夫さんです。
まずは、その敦夫さんの発言から。※印は越水記
中村敦夫氏「今回はウクライナに行きました。2009年に、ウクライナの政府は放射能健康被害者は230万人いると発表しています。」
中村「プリピャチ(※チェルノブイリから4キロ)の人口は5万人で、平均年齢が27歳でした(※事故当時)。若い夫婦が多かったので、当時妊娠していた女性もかなりいました。彼女たちが全員被曝したのです。すぐに全員退去しましたが、胎児も体内被曝していて間に合いませんでした。その後、生まれた子どもたちの追跡調査の結果があります。
プリピャチ市から350人の子どもたちをピックアップした調査ですが、健康に異常のない子は0%。つまり100%健康に問題がある。この調査は7歳児に行っています。生まれてしばらく経って異常が出てくる子が多いため、7歳になるまで待つのです。70キロ西に外れたナロジチの同じく350人の7歳児では、97,5%が健康異常。2.5%しか健康児がいない。要するに、『被曝してしまったら逃げようがない』という数字なのです。
聞き手「日本ペンクラブ総会のあとの懇親会で、強制退去の町で子供が1987人いるけれども、そのうちの1300人が病院に通っているというデータを出されていましたね?」
中村「それは、ナロジチです。(中略)原発事故が起こったのは26年前ですから、この子どもたちはまだ生まれていなかったわけでしょう。
心臓病、血管や呼吸器障害、今頃になって甲状腺癌も増えてきています。先天性障害、筋力障害、それに背中の曲がった子どもも増えてきているそうです。
それから、直接被爆したのではないけれど、間接的に飲食物から被曝する内部被曝。それが体内に累積するわけです。安全値などといっても、役人が勝手に決めた数値で、医学的根拠がないし、信用できない流通業界もある。
同じことが、今、東北や関東で起きているわけです。

聞き手「現地の方たちはどう言ってますか?」
中村「どの人もお金の問題を話していましたね。そういった状態に対して、生活保護を受けるために補助金をもらうしかないわけです。だけど、その半分以上が医療費に消えて、暮らしていけない。両親は働けない、子どもは障害を持っている。被曝していなかった地域の子どもたちも、年をとるに従って、さまざまな症状が出てきています。
ウクライナの首都、キエフなどは110キロも離れていて、直接被害はないわけですよ。でも、当時、市長が即決断して、25万人の子ども全員をクリミア半島の観光地に避難させました。女性の市長でしたが、それが正しかったと、今では評価されています。これを福島でやらなかったということが、これから問題になるのです。今でもまだ子どもたちがいるわけでしょう。
福島だけが、ほんとうに助かるのか。健康被害はすぐには現れないのです。(後略)」
聞き手「これからできることはありますか?」
中村「将来の不幸に備えて、子どもたちを救うための医療施設や静養所を準備すること。これには、政府や行政への働きかけや企業のスポンサーシップも必要です。
家庭では、子どもに安全なものを食べさせるよう努力することが大切ですね。
知識人表現者たちは、事実の追求と情報発信に向かわなければなりません。
過去20年間で、ウクライナ人の平均寿命が75歳から55歳に、つまり20歳も下がりました。30代や40代で亡くなる人が多くなったということです。原発推進派は、こうした不都合な事実を伏せようと必死です。

聞き手・清原康正
まとめ・高木香織氏
内容を詳しく知りたい方は、↓日本ペンクラブへ。
http://www.japanpen.or.jp/