【脱原発を考えるペンクラブの集い】報告その2

第一部「基調報告」より
【福島視察について】吉岡忍氏
「(前略)私は昨年、原発が爆発して、10日余り経ったころ、現地に入って行きました。(中略)私はスルーマイルにも行ったし、他のさまざまな原発にも行きました。いろんなことを考えさせられました。この原発をどう考えたらいいのか。一言でいうと「非人道的技術である」と思います。地雷とかの兵器などを「非人道的兵器」といったりしますが、これは非人道的技術ではないか、そう考えます。(中略)しかも、それだけではない。原発は賛成派と反対派を作り、コミュニティーをも分断してしまう。(後略)」


チェルノブイリ視察報告】野上暁氏
「(前略)チェルノブイリを発ち、原発から75キロ離れたオブリチ市の疫学検証センターへ。事故直後1万ベクレルだったキノコの線量が、26年後でも7万6千ベクレルだと聞き、森林の除染など不可能に近いと知りました。ナロジチ市では、18歳のときに被曝した2組のお母さんとお子どもたちに会って話を聞きました。一人は死産で、もうお一人は生後数か月で最初の子どもを亡くしています。お二人とも、その後に生まれた子どもたちがすべて心臓や脳に障碍があり、お母さんも癌があちこちに転移しているということで、愕然としました。(中略)原発事故に終息などないいうことを痛烈に感じさせられました。

チェルノブイリをこの目で見て】浅田次郎
チェルノブイリの事故から26年経ちます。これは福島のこれからの26年後と考えることができると思います。一番衝撃的だったのは、石棺200メートル近くまで行ったのですが、その石棺が27年も経つともう壊れてくるんですね。コンクリートってそう丈夫なものではなくて、放射能が漏れ出てくる。そうなるとどうなるかというと、その上にもう一つの石棺を作って、これをかぶせるんですね。隣にレールを敷いてそれを作ってかぶせる、気の遠くなるような作業です。(中略)
それから、具体的に原発のことですが、これを一基動かすか動かさないか、一基動かせばこの夏を乗り切れるという議論が、ついこの間ありましたね。一基でどうのこうのと言っていたのに、どうして50いくつもあるのか、という事実。つまり、これは本来、なくてもよいものがあるのではないか。この疑いを、私たちは本質的に考えなければいけないと思います。(後略)」


チェルノブイリでわかったこと】中村敦夫
「(前略)今日は2つの問題について簡略に話します。1つは除染という問題。もう1つは健康の問題です。(中略)時々、畑をみかけることがあって、掘り起こした跡がある。それは除染を試みて、懸命に実験したけれども、失敗したからそのまま放置している。そういう風景がありました。(中略)日本では除染が決め手みたいなことを言う。しかし、日本でやるとなったら、もっと難しい。山の多い国ですから、日本は。東北と関東のあの山をどうやって除染するんですか。政府が除染と言ってガンガン進めているのは、結局、公共事業の一種ですね。
(中略)次は健康の問題です。健康の問題は実に深刻です。26年経っても病人はどんどん増えている、というのが実態です。例えば、ナロジチ市では、3万人いた市民全員に退去命令が出ました。しかし、まだ1万1000人も残っています。街ごと全部移るということが不可能で、市長の話では今いる住人のほとんどが病人だということです。犠牲になった家族を2軒ほど訪ねましたが、悲惨ですね。まず母親が被曝して癌にかかっている。そして、生まれた子どもたちは先天的な障害があって、手術を繰り返している。2つの家族を訪ねて、非常に絶望的になりました。キエフの近くで被爆した青年が、今ごろになって甲状腺癌を発症させて入院している場面も見てまいりました。
ですから、何も終わってないんですよ。どんどん病人が増えている。原因の一つは、飲み物と食料由来の低線量内部被曝の問題だ、と私は思います。」

まとめ・佐藤祐二氏
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