『林業少年』作/堀米薫 絵/スカイエマ

林業少年

林業少年

山持ちとして代々続く大沢家の長男・喜樹は、祖父・庄蔵の期待を一身に受けていた。家族から「干物」と陰口をたたかれる庄蔵だが、木材取引の現場では「勝負師」に変身する。百年杉の伐採を見届け、その重量感に圧倒された喜樹は―。山彦と姫神の物語。 (amazon内容紹介より)
 
現代の子どもたちがほとんど知らない山のこと、林業のことを描ける作家はめったにいません。ましてや、児童文学として書いてくれる作家がいたことは、子どもたちにとって大切な宝物になるはずだと思いました。
今や、安価な輸入材に押されて売れにくい国産材だけれども、山を守って育てる林家、その現場で働く山の仙人といってもいいような職人たち、機械ではない命の震えを感じさせてくれる力強い馬の姿に、心からの敬意と、切ないような愛おしさがわきあがってきます。百年杉を目の前で見たような臨場感に、木の姿をした日本の神に出会ったようで、登場人物と一緒に手を合わせたくなりました。画家のスカイエマさんも、挿絵を描くために山へ入られたとか。丁寧に、愛をこめてつくられた一冊です。読まなきゃソン!といってもいいような、命と愛がつまった物語です。