美とは何か? 老いとは何なのか?

いじめや介護施設の虐待のニュースを見ると、この国の病巣が透けて見える。キツイ仕事を課せられる人がさらに弱い人を虐待してストレスをはらす。
社会のストレスが弱い者へ弱い者へと向かうのは、個人の問題を超えているような気がする。富裕層や強者を優遇し、貧者や弱者に我慢を強いる政治そのものが作り出している悪夢ではないのか…と。
私はこの夏、美しいとはどういう事か、老いとは何なのかを問いつつ『うばかわ姫』を書いた。
老いても容姿の美しい人はいる。
だが、美しい事が価値なのか?
いや知識や知恵の蓄積こそが価値だというなら、記憶のない老人は無価値なのか?
否、価値とは他者に宿るものではなく、他者を見つめる自分自身に宿った「愛」の中にこそあると思い定めて、『うばかわ姫』は、書き上がった。
そのメッセージも、伝わる人とそうでない人はいるかもしれないけれど……

うばかわ姫 (招き猫文庫)

うばかわ姫 (招き猫文庫)