『ワニと猫とかっぱ それから…』#神戸新聞総合出版センター 著/金子かずこ/中原直子/石垣文子/森くま堂/滝まゆ美/香山悦子/エイ子ワダ/工藤葉子/西村さとみ/岡村佳奈/うたかいずみ

このところ、戦時の物語を執筆中で、しかも膨大な資料と首っ引きの状態。なかなか読みたい本が読めない。作家仲間の長編は気持ちを切り替えて読まねばならないので、当分無理な感じですが、この本は楽しく短いお話ばかり。気分転換にぴったりかも…とパラパラ見たら、つい、面白くて読んでしまいました。猫に、河童に、蛸、星のような紫陽花、お母さん魔女に、雪だるま、ぬいぐるみ兎。可愛いファンタジーばっかり、沢山沢山ありがとう〜♡神戸新聞さん!

全部はここに御紹介できませんが、まずは巻頭の「すて猫 反対!」かねこかずこさんの物語は子猫の小さな舌がちろっと見えるような気がして、きゅんとしました。子猫の小さな舌は、桜の花びら…なんて、素敵な表現でしょうか!生き物の愛しさ、尊さが、その表現だけでもぐっと伝わってきます。
そして、あまりのナンセンスっぷりに癒されまくったのが「の反乱森くま堂さんのお話。しりとりする度に、最低〜と嫌われる「」が、自分をいやになって、反乱逃亡するのです。さあ、皆さん考えてみて下さい。「」がなくなった世界はどうなっちゃうのでしょうか!?「」が逃亡して神さまにお願いに行く石段を上る姿を想像して、愉快で可愛くて癒されました。さて、どうなったか?それは是非物語を読んでみて下さい〜♪

「雪だるまとくらす方法」岡村佳奈さんの物語も、きゅんとします。無表情なはずの雪だるまの心や表情が伝わってくるような気がするからです。いきなり、やってきた大きな雪だるまとの友情を育てていく主人公。春が訪れて、どんどんやせてキラキラ輝き始める雪だるまに「だめだ、待ってくれ!」と叫ぶぼくの気持ち、つい、応援したくなります「いつか、雪だるまと南極旅行へ行けるといいね、ぼくちゃん!」って声をかけたくなりました。

「そばにいるよ」うたかいずみさんの物語は、亡くなったおばあちゃんと病院の看護師さん、そして、お母さんと女の子のめぐみちゃんのお話です。おしゃべり怪獣みたいな、元気なお母さんみたいにはなれなくて、ちょっとひけめを感じているめぐみちゃんが、亡くなった大好きなおばあちゃんの命が、自分の中に生きていると感じる一瞬が素敵です。おばあちゃんの作ってくれたぬいぐるみが一杯揃ったところ、見て見たくなりました〜

最後に書き足せば、この物語は『花・編』で、色んな花々が登場するので、それも楽しみですよ〜
そして、岡田淳さんの推薦文が帯に…「子どものこころのわくわくと、どきどきと、へえー、うんうんと、あははとにっこりがつまってます。」と。さすが、岡田淳先生、その通りです!