季節風の新刊紹介『となりの火星人』

〆切に追われてできなかった新刊紹介。最近の作品からその2です。
となりの火星人』#講談社 工藤純子さんの新刊です。まっすぐだからこそ、それぞれに生きにくさを感じている孤独な子どもたちが、自分を否定することなく、自らの未来を見つめる方法を見つけていく過程が感動的です。小さな学校で、家庭で、いびつになりそうな自分を抱えつつ、満天の星の下、「地球人でもなく、火星人でもなく、自分もこの雄大な宇宙に生まれ生きている宇宙人なんだ…!」と思えるシーンに出逢う子たちが、現実の世界でも増えてほしいなと思いました。

となりの火星人 (文学の扉)

となりの火星人 (文学の扉)

児童文学作家、ひこ・田中氏がオススメ!「空気を読めない子。読まない子。読みたくない子。不器用に生きているから、ちょっと不安。そんな自分を好きになれる物語です」
道徳の時間は苦手だ。はっきりとした答えがないから――。人間の感情を「理解できないもの」と感じ、他人とのコミュニケーションが不得手なかえで。勉強はできないけれど、自然とまわりに人を集めてしまう湊(みなと)。湊のせいで私立中学の受験に失敗したと思いこみ、現在、通っている中学校生活に馴染もうとしない兄の聡(さとし)。自分の中に「化けもの」が住んでいるから、ささいなことでキレて爆発してしまうんだと思っている和樹(かずき)。いつもクラスの女子を従えて女王様気取りに見えるが、マイナスの感情が心を占めるとパニック状態になり、息ができなくなって叫び声をあげてしまう美咲(みさき)。誰でもみんな、困っていることってある。子どもだって、大人だって。そう、だから、みんな「困った子」なんかじゃない。みんな、「困っている子ども」なんだ。それぞれの生きづらさを抱える子どもたちが、自らの個性とともに生きる楽しさに気づいていく物語です。(BOOKデータより)