『ドラコニアの夢』#角川文庫 編/東雅夫


サドやコクトーの名訳で知られる仏文学者、西欧異端文化の紹介者、達意のエッセイスト、絢爛たる物語作家―いくつもの魅惑的な顔を有する文人澁澤龍彦は、みずからの文学世界をドラコニア(龍彦の国)と呼んだ。本書は「澁澤龍彦×文豪」をコンセプトに、新世代の読者に向けて編まれたアンソロジーである。古今東西の文豪たちをめぐるエッセイを中心に、小説、評論、紀行、対談など全26篇を収録 (BOOKデータより)
去年から年始にかけて、〆切に追われ、友人作家の新刊や読みたい本がなかなか読めずにいたが、まずは今年の新刊からご紹介。
文庫だし、しかも、人気の映画「文豪ストレイトドッグス」に、澁澤龍彦登場!とあってのこの表紙にだまされてはいけない。中身は、なんとも濃い一冊だ。
澁澤龍彦のアンソロジー、エッセイ、紀行文、さらに三島由紀夫との対談などを集めたものだが、そのなか、取り上げられる古今東西の文豪の本にも気圧される。さらに、未読の本は読みたくなるし、一度読んだ本も読み返したくなる。一人の作家を、こんなに濃く編纂できる東雅夫先生に脱帽!
たぶん、この一冊で、読者からは蜘蛛の糸が投げられ、触手のように、さまざまな本に張り付くだろう。
…なんて、そんな妄想も浮かんでしまう、妖しく深い一冊だ。