『どこどこ山はどこにある』#フレーベル館 著/おおぎやなぎちか・絵/松田奈那子


目次は、空色のバス/ハシの木/プール/どこどこ山がやってきた/ひがちになあれ  まどかのひいおばあちゃん「ひいちゃん」が、ある日ふらっと家をでた。ひいちゃんを追いかけて、空色のバスに乗りこんだまどかは、いつのまにか知らない山にまよいこんで…。ふしぎな世界「どこどこ山」で、まどかがであったものとは?(BOOKデータより)
子どもたちにとって、ひいおばあちゃんといえば、病気や寝たきりになったり、老人性痴呆になってしまったり…心も存在も遠くなってしまう印象が多い世の中、この物語のひいちゃんは、まだ元気に見えます。そのひいちゃんが独りで出かけるのを見て、心配でついていったまどかが出会う不思議な山、どこどこ山が何を意味しているのか……物語の続きが気になって、どんどん読み進んでしまいます。そして、どこどこ山で出会った子どもたちやひいちゃんが歌う楽しい「どこどこ山の歌」は、いつでも、どこどこ山へ連れてってくれるのです。
♪どこどこ山は どこにある どこどこどこどこ どこにある あっちにあったり こっちにきたり どこどこ山は どこにある どこどこどこどこ どこにある ひがちになあれ ひがちになあれ♪
このおまじない歌の「ひがちになあれ」を、私は「お日さまが射して、快晴になあれ」の意味かしらと思って読んでいました。まあ、大人の想像力はその程度です。ところが、子どもたちの想像力はピカッとお日さまみたいに輝くのです。作者のおおぎやなぎちかさんは、いまだに、子どもの想像力を身内に抱えた貴重な作家さんだと思いました。人が老いて、病を得て、死んでゆく……そんな悲しい人生を描くのではなく、ピカッとお日さまみたいに輝く物語にしてくださってありがとう〜ってお礼を言いたくなりました。