『ゆうなとスティビー』#ポプラ社 著/堀米薫


ゆうなとスティービー (ポプラ社の絵本)

ゆうなとスティービー (ポプラ社の絵本)

青い目をした子うしのティービー。うれしいときも。かなしいときも、いつもはなしをきいてくれる。いつもわたしたちはいっしょ。いつも、そして、いつまでも。はる、なつ、あき、ふゆ、きせつはめぐり、いのちはつづく。 (BOOKデータより)
目の見えない青い目の子牛が生まれて、牛飼いの家の子、ゆうなはこの子牛といっししょに成長します。ミルクをあげたり、学校であったいやなことを話したり、スティービーと名付けられた子牛は、いつでも、ゆうなの友達で家族のようでした。
けれど、牛飼いの家には、肉牛を出荷する日がやってくるのです。そう、スティビーは家族ではなく、家畜なのでした。出荷しないでは、牛飼いの家の人間は生きていけません。酷いけれど、出荷するしかないスティービーは、暴れもせず、おだやかに出荷されていきます。けれど、それは、ゆうなといっしょにスティービーを愛してしまった読者にも辛い結末です。
けれど、辛いからこそ、命が、あらたな命になってくれている世界そのものが、子どもたちの心に伝わるのではないでしょうか?
ご飯を、ご馳走を食べる時、手を合わせ『いただきます』と言い、終わると『ごちそうさまでした』と言う。それは、お行儀なんかではなく、命への感謝の言葉なのです。その言葉の意味がストレートに子どもたちに伝わるかもしれないと思いました。