『教科書に書かれなかった戦争67 ラケットはもうつくれない、もうつくれない―戦時下、下町職人の記憶』#梨の木舎 著/青海美砂・絵/五十嵐志朗


この本は、戦時にラケット職人だった父や兄の証言をもとに書かれた戦争児童文学です。まず物語としてどうとか言う前に、戦時の庶民の暮らしやその辛さが記録されており、創作ながら、庶民のドキュメントのような仕上がりになっています。戦後70年を過ぎた私たちの国「日本」が、今向かおうとしている政治の怖さもひしひしと感じます。推薦は、作家/きどのりこさん。戦争へ向かう国の恐ろしさ、国家に統制された情報しか流されない戦時の恐怖が描かれている点だけでも、今の日本人が知らなければならない事実が見えてきます。今、この時だからこそ、書かずにいられなかったという作者の気持ちは、私が『ガラスの梨 ちいやんの戦争』#ポプラ社 を書いた時の気持ちと同じでした。「私が書かねば、だれが書く!?」私もそう思ったものでした。
以下に、今夏から秋にかけて出版された戦争児童文学などをご紹介しておきますけれど、ちなみにこの本は残念ながら、まだネットでは見つかりませんでした。

花あかりともして

花あかりともして

マレスケの虹 (Sunnyside Books)

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