『ホーリースピリットからの贈りもの』#サンマーク出版 を読みました〜


作家/山川健一さんのおすすめで読んだこの本の帯、「ゆだねれば『幸せな奇跡』がやってくる。見えないけれど、確かにいる。人生を変える”その存在”との出会い。」という言葉に、ふと思い当ったことがあったからです。
ホーリースピリットなどという英語圏の言葉になれていない私は、最初はこの言葉になじめませんでした。けれど、私には、デビューの時から魂の友がいて、それは幼なじみの男の子みきちゃんでした。デビュー作を書く時はただ、二十歳になるやならずで自殺してしまったみきちゃんをよみがえらせたい一心で書きました。思い出の中のみきちゃんと子どもの頃の私自身が触れ合い、遊び、笑い合ったり、悲しみにひたったりしながら書き上げたのが『風のラヴソング』#岩崎書店でした。書いていた時には、私は画家でしたから、その原稿を出版社に入稿するあてもなく、ただ書き遺しておきたかっただけで書いた物語でした。その頃は別の絵本を描いていて、その絵を持って、至光社という版元へ売り込みに行ったところ、会って下さったKさんというベテラン編集さんが「これは、絵本より、児童文学が向いている」と仰ったのです。私が「児童文学の原稿ならあるんですけど…」といえば、「見せて下さい」と仰ったので、京都へ帰ってから、原稿を送りました。すると、一週間もしないうちにKさんからお電話があって、「読みました。素晴らしかった。私だけが読むのではもったいないので、我が社は絵本しか出していませんので、岩崎書店を紹介します」と言って下さったのです。その物語は『風のラヴソング』として、岩崎書店から1993年12月に出版して貰えたのですが、その数か月後、翌94年3月に、日本児童文学者協会新人賞を頂いたのです。これまで作家になれるとも思っていなかったし、一冊も本を出したことのない私には奇跡でしたが、奇跡は続きます。95年には、文化庁から、芸術選奨新人賞を頂いたのです。これをきっかけに、私は画家から作家に転向するのですが、作家になって数年後、この続編といっていいみきちゃんの物語『あした、出会った少年』#ポプラ社 を書きます。この本は、日本児童文芸家協会賞を頂いたのです。
現在はデビュー以来25年になり、著書は120冊を超えましたが、この二つの作品は、ど素人だった私を作家にしてくれた本でした。
以来、「私を作家にしてくれたのは、みきちゃんだ」と、私はいつも思っていましたので、この『ホーリースピリットからの贈りもの』を読んだ時、もしかして、私のホーリースピリットはみきちゃんじゃないかと思ったのです。
けれど、ホーリースピリットは自己そのものであるとも書かれています。だとすれば、この二作は、幼い日の私自身とみきちゃんとが語り合うようにして書いたのです。幼い過去の私には人間一般が持つような欲もなく、あるのは、初恋なんていう偏った感情でもなく、懐かしいみきちゃんへの友愛だけでした。
だから、今、私は思います。
私のホーリースピリットは、私が見つめてきて、今も私が忘れることのないみきちゃんじゃないかと…。