『1984年』ジョージ・オーウェルを読みました

作者オーウェルは1950年没。この作品を書いた直後に亡くなっています。読後の印象は世にも恐ろしい傑作、もう小説の域を超えた人類の遺産ではないかという思いでした。訳者新庄哲夫氏後書きに「『1984年』は現在のわれわれにとっても重大である。なぜなら、そこには人間の尊厳をおびやかす実体が普遍的な問題として予言されているからであり、未来のはらむ危機と現代の荒廃とが、権力の構造ないし論理をぬきにしてはまったく考えられないからである。」と書かれている通りに。
半世紀も前の作品ですが、今でも全然古くないです。むしろ、未来をリアルに描いたSFとして読めます。タイトルが「2084年」でも良さそうです。
権力によって人間性を失っていくウィンストンと恋人ジューリア。でも、再会したふたりの会話に、私はとても人間らしさを感じました。自分のしたこと、思ったことが深い傷となって愛した人を愛せなくなるのは、人間性を失っていないからだと感じたからです。でも、結末はもっと怖かった。