『マジカル・ドロップス』風野潮

マジカル・ドロップス
2時間17分間、15歳に戻れるとしたら、あなたは何をしたいですか?
そんなことを、みんなに聞きたくなる不思議な物語。
人生にくたびれ始めた42歳の主婦菜穂子は、27年前、亡くなった親友がタイムカプセルに遺した「15歳に戻れる魔法のドロップ」をなめてみた。ほんのいたずら半分、のこる半分は亡くなってしまった親友への思いで。
だが、がりっと噛んだドロップを飲み込んだ瞬間、菜穂子は15歳の中学生ナオになっていた。
その時から、やり残した15歳をもう一度生き始めるナオ。
立ち上がり見えてくる15歳の青春、そして42歳の青春。
一つの物語で二つの青春を体験できる、一粒で二度美味しいマジカルドロップ、それがこの本です。
童話の自由奔放なひらめきから、ほろ苦い大人の小説が生まれたのです。ほろ苦いけれど、すーっと吹き抜けるさわやかな風を感じます。
童話作家から、成人小説の人気作家がつぎつぎ輩出されているのはなぜなのか? と、文学界は騒いでいますが、それは特別なことではなく至極当然当たり前のことなのです。その秘密がわかる一冊かもしれません。
風野潮さんも、まぎれもなくそのお一人なのだと感じました。