『卒業うどん』服部千春

卒業うどん
「ツラいことがあったとき、あなたはどうしますか?
おいしいうどんを食べれば解決!
そんなウマいことあるわけ……あるんです!」
なんて、帯のコピーにつられて読みました。読み終わったら、なんと、うどんを食べたら、ほんとに、何もかも解決しそうな気がしてきました。
ツラいって、実は、とっても複合的な感覚なんだけど、それに気づかないことが多いんだ、と、はたと思いました。
つまり、友達が笑いかけてくれただけで、あるいは、めちゃ旨いうどんをお腹いっぱい食べただけで、「死ぬほどツラい」が「死ぬほどではないツラさ」に変わっているような気がします。
じわじわ人の心を殺していくような無邪気(あるいは意図的)な、陰湿残酷ないじめ、この重いテーマをはね返すような物語です。
何より、登場するこどもたちが自分の力でさまざまないじめから立ち直り、自ら解決していく姿が素敵です。
いじめと闘うには、明るい強さが最大の武器で防具なんだなあと思いました。
陰湿ないじめをする人間は、大人であろうと子どもであろうと、薄暗い弱い人間です。それに引っ張り込まれないためには、明るい強さと味方が必要なのだということがよく分かります。
いじめとは、なかなかひとりで闘えないものです。でも、味方が、仲間がいれば、あとは、明るい強さがあれば怖くない。
そんな勇気をあたえられる気持ちのいい物語でした。
それと、この本を読むと、讃岐うどんを食べたくなりますよ。美味しそう〜なんです。