『忍剣花百姫伝』とほほ外伝・夢さん旅日記2
◆「夢さん旅日記2花疲れ」
初めての方は、「夢さん旅日記1この世の花」からご覧ください。いや、むしろ『忍剣花百姫伝』を読んだ人が最も楽しめます。
夢候(ゆめそうろう) 「ああ、やっと見えてきた。峠の花茶屋だ。お〜い、天魚(あまご)〜 いるかぁ?」
天魚(あまご) 「夢さんじゃないですか。久しぶりですねえ。どうしたんです? お疲れのようですね。」
夢 「いや、まあ…。ちょっとな。疲れのとれる、白い花茶を飲ませてくれ。」
天魚 「それが、白い花が切れてしまって、これから花を採集に行くところなんです」
夢 「じゃ、青い花茶でいいよ。ちょいと、身体の毒を抜きてえ……(ばったり)」
天魚 「夢さん、大丈夫ですか!? おーい、おれは出かけるから、夢さんをたのむよ〜」
(天魚は出ていったが、奥からの返事はない。)
夢 「白でも青でも、紅茶でもいい。ともかく、茶をくれ。水分を取れば楽になるはずなんだ」
ゴン、ビシャッ! (と、奥から飛んできたお茶の入った湯のみが、夢候の後頭部を直撃。)
夢 「いてっ! 乱暴な奴だな。茶ぐらい、どうぞ召し上がれって、運んでこられないのか!」
奥からの声 「ふん、きさまには、それで充分だ。いつも、水もしたたるいい男が、売りだろーが」
夢 「うう、その底意地の悪さ……! さては、てめえは美女郎(みめろう)だな。ここへ、出てきやがれっ」
(夢さん、ついに腕まくり)
(美女郎登場)
美 「なんだ」
夢 「てめえっ!」
(掴みかかった夢さん、美女郎の顔をじっと見て)
夢 「あ……」と、かたまる。
美 「なんだ、文句があるんじゃないのか。」
夢 「いや、いい…」
美 「なんなんだ、いったい!」
夢 「うっ、だめだ! あっちへ行ってくれ、たのむ……」
←似すぎている二人…
夢 「その顔は、当分見たくねえんだ…。きれいな花には、棘がある…(ばったり)」
(すっかり花疲れの夢さんであった…)
※この連載は『忍剣花百姫伝』シリーズの外伝ですが、本編とは関係ありません。