シンポジウム「子どもの物語・大人の物語」満員御礼申し上げます〜

昨日のシンポは、パネリストが今江祥智先生、里中満智子先生&ひこ・田中さん&令丈ヒロ子さん&越水利江子でした。
ところが、客席がまた豪華。創作作家だけでも、川島誠さん、二宮由紀子さん、野上暁さん、那須田淳さん、くぼひできさん、楠章子さん、藤野恵美さん、宮下恵茉さん、しんやひろゆきさん、風野潮さん…まだいらしたかな? そうそう、服部千春さんも! お話したんだった〜(呆け? 編集さんもかなりいらしたようだし。



ことに川島誠さんには、「ちょっと、ここ来いっ、席、替わらんかい〜」といって、席を交代したかったです。
それぐらい、インパクトのある発言が多多ありました。
里中先生のお話は、超面白うございました。令丈ねえさんと私とひこさんは自称「うなずきトリオ」と化し頑張りました!
今江先生は喋り足りなくて疲れられたとか(爆笑)。
でも、沢山喋っても少しでもピリリと心に響くお言葉でした
まあ、これだけの作家が集まれば、収拾付く方がおかしいので、テーマとはややずれた方向に盛り上がったりもありました。
でもまあ、生本番みたいなもんですから、どうか、ご容赦を。
それで、テーマについて、少し発言したのですが、そのことについて。
今、児童書作家が一般小説のジャンルに流れていく傾向といわれていますが、実際は、一般小説の世界で、少年小説や児童文学に近い物を書かれていた方はこれまでもいらして、たとえば、『キッチン』『つぐみ』の吉本ばななさん、『蝶々の纏足』『ぼくは勉強ができない』『晩年の子供』の山田詠美さん、『龍は眠る』『弧宿の人』などの宮部みゆきさん。
でも、このところの傾向は、エンタメ、ミステリーあたりでファンタジー手法ともいえる仕掛けが顕著です。
爆発的に売れている作家さんの多くは、まず設定で読者の目と心をひき寄せ、一気呵成に読ませます。
夜は短し歩けよ乙女』の森見登見彦さん、『しゃばけ』の畠中恵さん、『鹿男あをによし』『鴨川ホルモー』の万城目学さん、あるいは『秘密』の東野圭吾さんなども、いわばファンタジー手法です。これらは、児童書作家がこれまでやり尽くしてきた手法に近いのです。
なぜ、児童書作家はそういう手法を使ったのか?
それは、子供に一気呵成に読んでもらい、ファンタジーに秘められた真実の物語に出会ってほしいからでした。
子供は物語の最後に用意された感動のために、長々辛抱する読み方はできません。だから、一気呵成に物語の世界へ引っ張り込まねばならないのです。
今、一般小説の作家たちが、同じ手法を多くの作品で使い始めているのは、大人の読者といっても、純文学のような作品を読める人たちが圧倒的に減ったからだと思われます。
つまり、もともとあったそういう一般書の土壌に、さらに児童書の手法に近づいた「種」が蒔かれて、児童書作家が一般小説を書くための畑は、どんどん耕されているのです。
ですから、当然、児童書から一般書へ流れも大きくなります。
ではなぜ、逆流が少ないのかといえば、これも当然なのです。
一般書を書いていた作家が、児童小説を書く場合、大きな制約があります。
子供に分る言葉、子供への配慮を加味したストーリー作りをせねばならないということです。
しかも、そんな苦労をしても、一般書と児童小説では、その読者の数からいって、たぶん刷り数も売上も、1桁か二桁は少ないので、間違いなく貧乏になります。
そんな悪条件のもと、わざわざ苦労してまで児童書を書いてくれる一般作家さんはとっても少ないということでしかありません。
どっちが優れているわけでもなく、単純な理由です。
でも、本の作り方はどんどん児童書の手法に似てきてはいる、そういうことも、大人の物語、子供の物語の境界線があいまいになっている理由の一つではないかと私は思っています。
 それと、最後に難しい質問があったのですが、それについては、私はこう思っていました。
子供の物語とは、今、大人が身に付けたあらゆる鎧を脱いでしまって、無力な感性のみの人間になってみれば、少しは子供心がわかるのではないでしょうか。
教師や親という鎧、これまで身に付けた学歴や職業的技能といった鎧…そういったあらゆるものを脱ぎ捨てなければ、子供の気持ちはわからないものです。
子供の心は、頭では理解できません。
裸の心になって初めて、子供の痛みや喜び、優しさや強さがわかるものです。
子供の心とは? と、問いかける前に、自分が無力な裸の人間にならねばなりません…というのが、私なりの答えです。

さて、話は変わって、右の本は、光文社の編集さんに頂いた文学誌「メタポゾン」です。
ご覧ください、素晴らしい特集をしています。
ぜひぜひ、お買い上げを!

さて、話は変わって、私は少女の頃から憧れの里中先生にお目にかかれて、感激の1日でした。
里中先生が持ってらっしゃるファイルは、私が少女の頃、漫画週刊誌をバラしてファイルした里中先生の作品集です。
これをお見せできるなんて、喜んで頂けるなんて、夢のようです。隣にいる私もアップしていましたが、やはりお美しい方だけに!
うん、このほうが眼福〜♪
うちのパソコンは大きな写真が背景になってます。パソコン開くたびに幸せです。
今日になっても、まだ感激が冷めません〜
ゆかちゃんのシンポジウムの報告・よろしければ、ここもご覧になってください