土佐から京へ、龍馬慕情

私は土佐生まれ、京育ち。
作家になる前、少女時代に愛した歴史上の人物は、故郷、土佐の高知の偉人、坂本龍馬。そして、京洛を駆け抜け、ただ「誠」一字に戦った新選組でした。
敵対するとみられる両派のいわば筆頭ともいえる龍馬と新選組を好きになったのは、その生きざまでした。
少女時代、動乱を利用してのし上がろうする人々の中で、信義を貫いたと見えた人物は龍馬と新選組だったからです。
そんなわけで、私の『恋する新選組』には、龍馬が登場します。
龍馬の記録や生きざまに反しないよう実際の歴史的事件をからめつつ、ただ武力討幕一辺倒の薩長軍とは一線を画した血の通った人間龍馬を描きました。
なにより、この本の読者である少年少女に、偏った歴史観を植え付けたくなかったからです。
歴史の負け組である新選組は、勝ち誇った薩長官軍によって、徹底的にゆがめられて歴史に刻まれました。同じく、龍馬もまた暗殺によって命を絶たれ、暗殺者の黒幕が誰であったか、いまだに謎とされています。
明治政府は殺害したのは幕府側の見回り組としましたが、不思議なことはいっぱいあります。
新選組近藤勇は龍馬を殺してもいないのに、それを疑われて、武士としての切腹も許されず打ち首になりました。
なのに、明治になって、龍馬を殺したと自白したという者はほんの軽い刑で済んでいます。しかも、その仲間だったという侍たちはすでに亡くなっている人ばかりでした。
そんな馬鹿な……!?何か裏がある!と思うのは当然のことです。
私は龍馬の奥さんのお龍さんの顕彰会会員です。そこで提示される資料もまた龍馬の暗殺に疑問をつきつけています。ですから、私は勝ち組の物語は書きません。資料を調べても、勝者をたたえる嘘が多いからです。
あの織田信長の公式記録ともいえる『信長公記』ですら、信長亡きあとのものであるため、時の勝者であった豊臣秀吉の意向にそっているといわれるぐらいですから。
現代の政治を考えればわかると思います。現政権の決定的なマイナス面は、その政権下では徹底的に隠されます。歴史上も同じことで、歴史を調べ推察する時は、その時代の政権の嘘を見抜かねばならないのです。
それが、物語を書く作家の仕事ともいえると思います。
とまあ、長々と語ってしまいましたが、物語はやっぱり愛なのです。歴史上の人物をいかに愛しているかによって資料の調べ方もその量も、人間推察もあきらかに変わってくるからです。
そんなことを思っていた時、アニメ歌手の日高美子さんから、教えてもらったOTOGIさんのこの歌。
龍馬への愛があふれています〜 (しかも、この場所は土佐の仁淀らしい。私の故郷に近い!)

恋する新選組』にも多い龍馬ファンの女の子たちには、物語のどのシーンが浮かぶでしょうか?

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