東日本大震災を語り継ぐ物語『思い出をレスキューせよ!』著/堀米薫

写真、本、手紙、長い時間を生きのびてきた紙には、人々の記憶まで残されています。それを救うことで、被災者の大きな力になるのです。写真、本、手紙や書き物、賞状…、長い時間を生きのびてきた紙には、人々の記憶まで残されている。東日本大震災の被災地や、全国のボランティア団体などで進められた、被災した写真を救う「写真洗浄」(「BOOK」データベースより)

この物語は、宮城の作家として、素晴らしい物語を次々刊行されている堀米薫さんの新刊ドキュメントの物語です。
主人公の金野聡子さんはイギリス留学などを通じ、「紙本・書籍保存修復士」「製本家」となられた方です。
故郷を襲った東日本大震災によって、津波に流され、瓦礫やごみにまみれてしまった多くの方々の家に保存されていた家族の写真、本、古書、賞状…それらを自ら洗浄し修復しようと思い立った金野さんのご苦労やご活躍を丁寧に描き切ったドキュメントです。
この物語を語るより、金野さんが問いかけられたこの言葉をご紹介したいと思います。
「思い出を救うことは、被災した方が、これからを生きていくための大きな力になる。そうは、思われませんか?」
この言葉につまっている大きな愛、深い愛こそが、この物語の骨格となっています。
一読に値する一冊であり、語り継いでいってもらいたい記録でもあります。