ここに書いておきたい『うばかわ姫』後記
- 作者: 越水利江子,こより
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: 文庫
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戦国物といっても、信長が好きな読者や、秀吉派、光秀派、家康派の読者などがいらっしゃると思うけれど、物語の中で、誰を主役の位置に置くかで表現は変わってくるし、むろん史実、伝説からの想像は入っていますが、敵役となる人物もその武将の記録に残ることだけを素材にしたので、実在した武将については、貶めも美化もないのです。
ただし、人というものが死に臨むことで、世においてなした悪業、恨み、怨念などを離脱してゆく理想を描いたことは確かなので、主役の武将はいわば、離脱した魂の存在ともいえるので、それは美化ではなく、魂の可能性を描いたのです。
by越水利江子