『ハルとカナ』著/ひこ・田中 絵/ヨシタケシンスケ(講談社)

ハルとカナ

ハルとカナ

映画化された『お引越し』、『ごめん』など新機軸の児童文学を生み出し続けるひこ・田中さんの描いた小さな小さな恋の物語を、『りんごかもしれない』、『りゆうがあります』などの大ヒットで飛ぶ鳥を落とす勢いのイラストレーター、ヨシタケシンスケさんが、豊富な挿絵でさらにさらに世界をふくらませた一冊です。8歳だって、恋をするんです! ハルは、「大人は本当にややこしくて、がまん強い生き物だな」って思っている小学2年生。カナは、停留所ごとにバスに乗ったり降りたりするカエルを思い浮かべているうちに、数を数えるのが好きになった、やっぱり小学2年生。ハルは、休み時間になると、なんで男子は男子と、女子は女子と集まるのかなって不思議に思う。カナは、ユズやキララといると楽しいし、安心できるけど、それって女の子どうしだからなのかな? って、これまた不思議に感じてる。でも、ふたりとも、なんだか気持ちが変わってきたことに気がついてたんだ。「わたし、ハルくんのこと」、「ぼく、カナちゃんのこと」、「もっともっと知りたいな」(BOOKデータより)
繊細な子ども心に、辛抱強く、優しくよりそった物語。
最初から最後まで、大人の論理で展開しないからこそ、美しいのかもしれない。
好きって何?どこが好き? 考えてみたら、そうだよね。それがわからないまま、気が付けば好きになってたあの日……。幼い子どもたちには、すっとわかるその気持ち。
一方で、本当の意味で大人の読者向きでもあるような気がします。じれったい、どうしていいかわからない、あの頃の子ども心を思い出しながら読んで下さい。それができる大人に、おすすめです。