『仙台真田氏物語 幸村の遺志を守った娘、阿梅』著/堀米薫

仙台真田氏物語: 幸村の遺志を守った娘、阿梅

仙台真田氏物語: 幸村の遺志を守った娘、阿梅

真田幸村に秘策あり。娘の阿梅は、大坂城落城が迫るなかで死を覚悟した父・幸村が口にした言葉に、耳を疑った。子どもたちを敵の武将のもとにのがす…「阿梅よ、そなたに、弟妹たちの命をたくすのだ。そして、わが家系をふたたび世に出すことをたくすのだ。ちかってくれ。かならずや、みなで生きのびると!」―大坂城落城が迫るなか、真田幸村が娘の阿梅に伝えたのは、子どもたちを敵の武将のもとにのがすという秘策だった。そのときから、阿梅の戦いが始まった。(BOOKデータより)
人が歴史と出逢う瞬間の、不思議と、必然を思う心温まる一冊。
『チョコレートと青い空』『林業少年』など、ノンフィクションの名著が多い福島出身の作家、堀米薫さんの書かれた歴史ノンフィクション。大阪夏の陣で壮絶な最期を遂げた真田幸村の娘、阿梅の物語。登場する戦国武将の綺羅々々しい事と言ったら! 真田幸村を筆頭に、独眼竜、伊達政宗、その家臣、鬼の小十郎の異名をとった片倉小十郎重綱……これら、戦国に生きた武将の魂、義と真に心打たれます。
物語は、普段現代ノンフィクションの書き手の堀米さんだけあって、時代小説を読みなれない人にもサラサラ読めます。なんといっても、常に時代小説ネタを探している時代小説作家ではない堀米さんが、この阿梅に出会ったのは、ある種必然だったのかもしれない。
みちのくという雪深い地に、脈々と語り継がれてきた戦国の愛の物語は、きっと、その地に寄り添う愛ある作家に出逢う日を待っていたのではないか……そんな気がしました。