『なりたて中学生 上級編』著/ひこ・田中

なりたて中学生 上級編
すべての小学6年生に告ぐ! 中学校は、なんだかんだで面白い!! 土矢小学校に通っていたのに、小学校卒業があと間近というタイミングで、親が、いま住んでいるアパートから、ほんのちょっと離れたところに念願のマイホームを建てたものだから、親友の小谷や菱田といっしょに土矢中学校に進学できず、瀬谷中学校に通うことになってしまった成田鉄男=ナリタテツオ。超アウェイの状況でスタートした中学校生活も、あっという間に夏休みが終わって二学期に。クラスの広報委員であるテツオは、「観察して、取材する」中学生活を送るのが信条。部活や勉強に力を入れ始めた級友たちを、まぶしい思いで観察していたのだが、文化祭シーズンに入り、広報委員会も出店をだすことになって、「観察」どころか、大忙しの日々が始まる。いっしょに制服の採寸をした杏里も、夏休みの後、どことなーく大人っぽくなってて、「なんだろ? この気持ち」なテツオの学校生活は、それでも変わらず続くのであった――。ちょっと頼りなくたって、「中学生」なんて、だれでもできるもんやで!

 上級編のテツオは、哲学してます。いや、難しい哲学ではなくて、ボケとツッコミ満載の関西人のテツガクです。
っていっても、テツオの真剣ぶりに、中学生ってこんなに純な年代だったっけと、自らを振り返ってしまって、考えてみれば、いい大人の私は、テツガク的には初級編のままなのかもと気付きました。
部活動に積極的になれず、部活見学部を一人で作ってしまったテツオは、せっかくの夏休みに、それぞれの部活訪問を決行する。そんな中、ふと立ち止まって考えてしまうテツオ。
「小学生時代、オレらが見られているって、考えてなかったのは確かやな。あの頃のオレらって無敵やったな」
「オレらだけで時間が過ぎて行った、あれって、子どもの時間と違うかな?」
 なんて交わされる会話。そこは、なるほど〜そうやなあって思いました。
中学生って、子どもの時間とお別れする季節なんだと、なんとなくわかっていたけど、こうやって、具体的に語られると、ふむふむなるほど〜って感心してしまいます。
そして、部活めぐりとテツガクの果てに、学校行事や部活動に何かなじめない気持ちは、苦手というより、不気味に感じているんだと気付くテツオ。
さらに、「学校だけが不気味なんやない。オレの中ににも、不気味なところがある」とも気付いてしまうテツオって、ほんま可愛い。純な奴なのです。
そんなこんなを思いながら、読み終えた『なりたて中学生』三部作。
もしや、これは、作者のひこさんが可愛いのかな?

なりたて中学生 上級編

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なりたて中学生 中級編

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なりたて中学生 初級編

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