ようやく片づきました
このところ、我が家のできごとを並べてみました。
庭の紫陽花が花盛り。その下は七変化です。蕾から咲き終わるまで七変化に色を変える可愛い花です。
居間にまぎれこんできたヤモリくんです。息子につかまえてもらって、庭へ逃がしてもらいました。でも、こうしてみると、恐竜の赤ちゃんみたいです。サッシのみぞに潜り込んだので、ほっぺにホコリがついてるのが何とも可愛いです。
そして、新たに買った書棚へ、資料を詰め込みました。一マスのみ、拙著の一部を入れてみました。六百冊ぐらいは入ったのではないかと思いますが、資料全部は入りませんでした。
二階の書斎には、資料&創作&同人誌などが、この三倍以上あります。木造の古家なので、蔵書もおのずと限界があります。そこで、一、二年ごとに文庫に寄付したりもしていますが、残したいと思う本が多すぎて増え続けています。でも、残したい本こそ、子供たちに届けるべきだとも思います。児童書はこどもに読んで貰ってこそ、本の一生をまっとうするのですものね。作家の個人所蔵より文庫にある方が本にとっては幸せではないでしょうか。といいつつ、まだまだ手放せない本で二階の書斎は埋まっていますので、この夏はここの一階和室で執筆しようかなと思っています。
森に息づくヒーロー&ヒロイン
『RDG・レッドデータガール』作・荻原規子(角川グループパブリッシング)
銀のさじシリーズは注目作家が書かれているというので、荻原規子さんと寮美千子さんの本を読んでみようと思い立って、先に届いた『RDG・レッドデータガール』を読んでいたのですが、本日、1,2巻を読了。2巻の帯には、凄い作家さんたちの推薦文が掲載されています。なかでも、私は上橋菜穂子さんのこの↓推薦文が好きでした。
「さあ、風をはらんだ! この物語が昇っていく果てを早く見とどけたい!」←うん、同感です!
内気で、自分に自信がない女の子泉水子(いずみこ)は、熊野の深山、玉倉神社で大切に育てられました。泉水子を姫神と呼ぶ山伏の相楽雪政は、息子の深行(みゆき)を泉水子の下僕として差し向けます。反発する深行。けれども、泉水子にはすべてを圧倒する秘密がありました……。というわけで、1巻は、自分の殻に閉じこもろうとする泉水子の内面が丁寧に描き出されています。
2巻はいわば、自らの足で歩みだした泉水子と深行の学園生活が主体になるのですが、謎に包まれた学園と、そこにあつまる不可思議な生徒たち、奇妙な現象を通じて、泉水子と深行の成長を描いています。ここでは、新たな仲間、宗田摩響(まゆら)と、真夏(まなつ)の双子(実は三つ子だったのが一人は亡くなった)が登場します。
さすがの安定感、展開の面白さ、キャラの魅力、三拍子揃っていて、一気に読めます。
推薦人のお一人、佐藤多佳子さんは「リアルタイムの日本に、いにしえのファンタジーをこんなにジャストフィットさせられる荻原さんはスゴイ!!」とおっしゃっています。その通り!と思って、はっと、思い出しました。
「リアルタイムの日本に、いにしえのファンタジーをジャストフィットさせた」作家なら、もう、おひとり、いらっしゃることに!
『水の精霊』作・横山充男(ポプラ社)
「世界を浄化する力。この国に、もうひとつの歴史を築いてきた幻の民を描く壮大なファンタジー」
たびたび夢に現れる白い花を追って、十四歳の真人は高知の四万十川へ向かいます。それが旅の始まりでした。やがて、真人と出会う運命の少女みずき。二人は「ふた咲きの花」と呼ばれ、運命のパートナーなのです。幻の民セゴシの成人の儀式、ミズチの修養のため、ふたりは果てない水の旅人となります。セゴシの系譜につながる人々の、さまざまな人生をも癒しつつ、長い旅路の果てにふたりは再会します。手を取り合ったふたりが、運命の一歩を踏み出したとき、地球上を、浄化の風が吹き抜けてゆくのです……
神々しい山々、澄みきった水晶のようなせせらぎ、森の、湖の、川の息吹、それらが醸し出す濃厚な空気感には、読みながら癒され、浄化されていくような気がします。荻原規子さんの『RDG・レッドデータガール』が女の子向きだとしたら、横山充男さんの『水の精霊』は、読者対象を大人にまでひろげたファンタジーです。
『幻狼神異記』作・横山充男(ポプラ社)
こちらは、さらにエンターティンメントの仕掛けがほどこされています。
「ぼくは魔物か、それとも神か!?」
バイオレンス・ファンタジーと銘打たれていますが、実は、これも「リアルタイムの日本に、いにしえのファンタジーをジャストフィットさせた」といえる作品なのです。『水の精霊』が大人の知識欲にもこたえる物語だとしたら、これは少年向きです。つまり、『RDG・レッドデータガール』は女の子向き。『水の精霊』はヤングアダルトから、むしろ大人向き。『幻狼神異記』は、ずばり男の子向き。いにしえファンタジーがお好きなら、どれも、おすすめです〜