ひとは、どこへ還るのだろうか

この日まで生きて何を得て何を失ったのかと、ふと考えました。こころあたったのは「何も得ず、何も失わず」でした。
得ることがなければ、失うこともないのが道理です。でも、ひとはこの世に生まれ落ちるときに命だけは授かります。だから、いつか命だけは失ってしまうけれど、ほかには失うものとて、何も手にしていないのではないでしょうか。仕事、名声、財産、家族、友人……それらは手にしたように見えて、実はシャボン玉のようなもの。目に見えるものはすべては、パチンとはじけて消えてしまうような気がします。目に見えないけれど、たしかにあるのは、愛と誠。なんだか、昔のコミックみたいですが、最後に残ってくるものはそういう見えない、さわれない、科学では証明できないものだけのようです。
私はある時から、自分にだけいいことがあるようにと願わないようになりました。自分が行動するときは、私に一つ、見えてるだれかに一つ、見えないみんなにそれぞれ一つと思って動きます。凡人で非力な私には、自分にゼロ、みんなに百はとても無理です。だから一つと一つ。たとえば、超売れっ子のあさのあつこさんあたりが別段普通に生きてらしても、自分に一億、みんな(社会)に百億ぐらいは貢献されていることでしょう。そのケタでいけば、一つは、そのあたりを舞ってる埃みたいなものかもしれません。でも、ゼロじゃない。だから、童話城は個人サイトでありながら多くの作家さんの情報を載せています。
このブログも、友だち付き合いも、公的な仕事も、愛情関係も、私に一つ、見えてるだれかに一つ、見えないだれかにそれぞれ一つ、愛と誠をラッピング〜♪
と、まあ、愛と誠じゃお腹もいっぱいにならないし、見えないし触れないし、でも、私ができることはそれだけだから、できることをするのは楽しいです。自己満足ですが、越水が気分良くやってるんだから、まあいいかと、お心広く受け止めて下さいませね。
   もろともに あはれと思へ 山桜
     花よりほかに しる人もなし
                (前大僧正行尊)
小倉百人一首で好きな歌です。
そこから「花よりほかに」をお借りして、時々のつれづれエッセイのタイトル兼カテゴリーにしました。