児童書ベストセラーの怪!?

ズッコケ中年三人組月下花伝―時の橋を駆けてぼくのプリンときみのチョコ (YA! ENTERTAINMENT)車のいろは空のいろ (ポプラ社文庫―日本の名作文庫)
南総里見八犬伝〈2〉五犬士走るビート・キッズ―Beat Kids (講談社文庫)忍剣花百姫伝〈1〉めざめよ鬼神の剣 (Dreamスマッシュ)No.6〔ナンバーシックス〕 #4 (YA!ENTERTAINMENT)
amazon楽天で、今のところ拙著の中で売れている一位に定着しているのが『月下花伝』です。版元のベストセラーでも、ほぼ二位定着の模様。時を超えて沖田総司がやってくるという時代ファンタジーなので新撰組ファンの方に迎え入れられているのかもしれません。しかし、児童書(日本の名作)ベストセラーにはなぜか出てきません。ヤングアダルト小説だからでしょうか。拙著の内、二位以下上位の『忍剣花百姫伝』シリーズや『竜神七子の冒険』『ぼく、イルカのラッキー』『あした、出会った少年』などが国内作品ベストセラー100冊の中に舞い込むことは度々あるようなのですが、なぜかなぜか、それより売れているはずの『月下花伝』は出てきません。おかしなことに、花百姫の中でも『忍剣花百姫伝3 時をかける魔境』だけはSFファンタジーに分類されています。ですから『月下花伝』も、どこか違う分野に分類されているだと思いますが、さて、どこへ紛れ込んだもんやら。どこかで見てみたいものですが、今のところ見つかりません。
とはいえ、本はやはり書店で売れないと本当のベストセラーにはなりません。書店さんが置いてくれているか、平積みされているかで、売れない本と売れる本の運命は決められてしまうといっても過言ではないように思います。私の新刊はネットと図書館売れはしていますが、さて、書店はどうでしょうか。ネットのベストセラーにはあがってきませんが、『まじょもりのこまじょちゃん』は書店売れをしているようです。しかし、まあ、書き手はそこまで行くと神頼みしかありません。ただただ、版元さん、書店さん、よろしくお願い致します〜
さて、それでね、このところ、私はベストセラーを見るのが日課になっているのです。というのは、そういう本を読んでみて魅力を探ることの楽しさに目覚めたからです。でも、ベストセラーというのは長い目で観察しないと本当に人気がある本がわかりにくいものなんです。だから、日課に。自分の本があってもなくてもあんまり気にしません。あれば、嬉しいけど、過渡的なものでしかないから。
お友達や親しい作家さんでベストセラーのご常連は、やはりあさのあつこさん。おなじみ『バッテリー』と『NO6』が強いです。後藤竜二さんの『おかあさん、元気ですか』もご常連です。那須正幹さんの『ズッコケ三人組』シリーズ、浜たかやさんの『南総里見八犬伝あまんきみこさんの『車のいろは空のいろ』シリーズ。富安陽子さんの『やまんばあさん』などもほぼご常連。定期的に顔を出す本は風野潮さんの『ビート・キッズ』『ぼくはアイドル』後藤みわこさんの『ぼくのプリンときみのチョコ』『ボーイズ・イン・ブラック』など。これらの本は、私はだいたい読んでます(シリーズの長いものは一部ですが)。
ところで、香月日輪さんの『妖怪アパートの幽雅な日常』もほぼご常連なのですが、売れゆきでは負けていないはずの池田美代子さんの『ナビ・ルナ』石崎洋司さんの『黒魔女さん』松原秀行さんの『パスワード』令状ヒロ子さんの『若おかみ』などの文庫類は違う分野に組み込まれているのか出てきません。といって、文庫の分野にも出てこない場合もあるので、この分野分けがけっこういい加減なのです。ベストセラーも、まあそのつもりで見ないといけないということです。出てこなくても、めっちゃ売れてる本もあるのですよ。ですから、こういうネットのベストセラーというのも、ひとつの目安でしかないのですが、これを楽しみでなく仕事でチェックされている編集長さんもいらっしゃるようです。
数年前のことです。
某社の編集さんからシリーズの企画のお話があって、その企画を編集さんが編集長に提出された時、その編集長はこうおっしゃったとか。「こんな売れてない作家の本はだめだ。もっと売れている作家にしなさい」と。どうやら、当時の編集長はネットやその他のベストセラーをチェックされていたのです。
その企画はむろん流れたのですが、私はこの時の編集長の一言がありがたかったです。
「良いものを書いているつもり」という自己満足ではいけない。結果を出さなければ、そんな自負などいつでも蹴飛ばされ踏みつけられるという現実を教えてもらったからです。
仕事の分野を拡げたのはこのことがあった頃からです。
おかげで、シリーズの企画はあちこちから舞い込むようになり、売れてる作家とはいえないまでも、売れてない作家ともいわれなくなった今日この頃。ちなみに、その版元さんとは今も一冊の仕事もしていません。今はもしかしたら、編集長も変わったかもしれないけれど、これからも、その版元さんとは仕事をしないと思います。なぜなら、私の記念碑だから。
書き手を崖から突き落とす一言に不思議にまったくへこまず、今にみておれと書き続けられたのは、その企画を編んで下さった編集さんが心から私の作品を理解し推して下さったのを感じたからです。
そんなこんなを、ベストセラーを見ると思い出します。
でも、ベストセラーの統計は、何度もいいますが、一つの目安でしかないのです。
最後に、私にとって大切な編集さんは、やはり、売れていない時に私を見出し、本やシリーズを出して下さった編集さんです。岩崎書店、大日本図書、新日本出版、教育画劇(この時のHさんは今は童心社にいらっしゃって、かの『バッテリー』の生原稿を季節風大会で見出し、あさのあつこさんを最初に押し出した名編集者さんです)、あかね書房ポプラ社の編集さん、編集長さんには、今も心から感謝しています。感謝しているからこそ、お世話になった編集さんに版元さんに、きっといつかお返しをしたいと願って、今も書きまくっているのです。
さあ〜今日も頑張るぞ〜