「強くてゴメンね」令丈ヒロ子

強くてゴメンね (スプラッシュ・ストーリーズ)
令丈さんの物語って、どうしてこう軽やかで、ユーモアがあるんだろう。
世の中、エンタティンメントといっても様々で、子ども感覚で書くのはいいけど、この文章をもう少しなんとかしてくれないだろうかと思う本も、少なからずあるのです。
一般文学にも多いのですが、文章、文体に、豊かさやおおらかさを備えていない物語は読んでいて辛いし、品格のない流行語におもねすぎた小説、物語は(たとえ文学賞を受賞していても、ベストセラーになっていても)、ギスギスして癒されないのです。
「短い人生、これを読む時間がもったいない」と、私は途中放棄してしまいます。
それにひきかえ、令丈さんの物語は、子どもの言葉感覚もとらえながら、文体は毎度の事ながら、まったく乱れていないのです。
読んでいて心地いいのです。
児童書作家には学ぶべきところが、沢山あるなあといつも思います。
「強くてゴメンね」は、ユーモア初恋物語です。
シバヤスこと、柴野是康(しばの・これやす)は、クラスメイトの美少女、陣大寺あさ子が、とんでもない怪力の持ち主だと知ってしまいます。
「ないしょにして」と、美少女あさ子に頼まれた、オトコ、シバヤス。
男の節義をまもって、徹底的に「ないしょ」にするのですが、そのたびに、とんでもない嘘をついてしまい、事はどんどんエスカレートしていってしまいます。
と、まあ、物語は読んで下さい。面白いから。
(小学高学年向き)