私って(俺って)運が悪い……という人へ

良くいるよね、こういうひと。……って、十数年前のわたくしですが。えっとね、それは運が悪いんじゃなくて、あなたがケチなんです。って、言い切っていいのか? おそらく、八割方は、言い切っていいと思います。
いえ、「私って、すっごく運がいいわ〜♪」って思ってる人も要注意。その良運はあなた次第で離れていくのです。
ケチっていわれたからって、何も誰かにおごれとか、誰かにお金を貸せとか、そういう気前の良さを求めてるのではありません。愛情の気前よさです。押しつけがましくない心遣い、優しさ、縁の下の力持ち、誰かにとって嬉しいと感じてもらえることをケチらないようにするってことなんです。ケチな人っていうのは、何かと理由をつけて、これをケチるんですよね。
この業界でいえば、「どーして、私の本が出ないの? 売れないの? 誰も誉めてくれないの?」「他人の本を誉めたりしたら、その人は得をするかもしれないけど、私は何の得もないし、第一、みんなにどう思われるかしら」というようなことばかり思う人は、まず胸に手をあてて考えましょう。
報酬を期待しないで、あなたは他人に愛情をそそぎましたか?
「だれかの本を買って読みましたか? だれかに読んであげましたか? 面白いと感じた本を誉めましたか? だれかにすすめましたか?」そんなささやかなこともしていないのなら、運が悪いって世の中を呪ってはいけません。
「なんで、何にもしてもらってない他人に愛情そそがないといけないの?」と考える人は、ずっと悪い運を背負っていく可能性大です。
愛情をそそぐのには、お金はかかりません。かかったとしても、本代を払う程度のことです。ふうっと、タンポポの綿毛を吹き飛ばすような簡単なことです。風に乗って飛び立った愛情の綿毛はあちこちに根付いてすくすく育って、小さなタンポポを咲かせます。それは、年ごとにどんどん増えて日本中に広がっているかもしれません。幸運というのは、そんなふうに育つのだと思います。
ケチなくせにラッキーな人も中にはいるだろうけれど、それは短い命だと思います。私は死ぬかと思うほど貧乏暇なしだけど、こっそり愛情の綿毛を毎日飛ばしています。自分ができること、いろんな人たちが喜んでくれることを大切に思うから。おそらく、それができるようになってから、いい仕事運がめぐってきたような気がします。最初はそれに気づかなかったけれど、今ははっきりわかります。そうやったんや〜♪と。
ことに、出版業界というのは、作家はみんなが喜ぶ仕事をしないといけないんです。編集者さん、版元さん、卸元さん、書店さん、読者さん、そして、社会に貢献できるような、み〜んなが少しずつ喜べる仕事をこそ、作家はせねばなりません。
これはこの業界に限らず、どの世界でも通用すると思います。プラスの気を発すれば、われ知らずプラスの気を呼び集めてしまうということでしょうか。※ただし、夫婦関係はこの限りにあらずの場合も多々ありますが……(^_^ ;)