信長の魅力

新シリーズの創作のため、織田信長を調べ始めると、その破天荒な魅力に惹き付けられます。ベストセラー『逆説の日本史』シリーズの著者伊沢元彦さんは、歴史上の三大天才のひとりが信長だとおっしゃっています。
いや、もう、調べれば調べるほど、ほんとにとんでもない大天才なんです。いや、むしろ人間離れしています。人というより、大魔王とかいった方が似合ってます。しかし、私の新シリーズはその信長とは仇敵の伊賀忍者と、現代の少女が主役。はてさて、物語はどうなるのか、もう自分でもわからなくなってしまいました。
というのは、どうもこの頃信長づいているのです。
先般、産経新聞の書評を書いたのですが、これが、はからずも『信長とまぼろし安土城』という本でした。それから、これもはからずも、本物の安土城址へ二度行く機会に恵まれました。さらに、この先もう一度、取材で行くことになりそうです。
そして、新シリーズが忍者物。
伊賀忍者と信長の激突、天正伊賀の乱などを調べると、信長の魔王ぶりに言葉を失います。でも、これは戦国時代。現代の常識を当てはめてはいけないのです。いや、信長は現代どころか、あの下克上の戦国時代の常識さえはるかに超え、誰もが思いついたこともない方法で、当時のヨーロッパからも日本の王として認識されるほど、大飛躍していったのです。
神か魔王かというぐらいの天才だけれども、身体は生身の人間。夢半ばにして、命を絶たれる信長。「実に惜しい!」と唸ってしまいます。
敵にとっては破壊王、残虐極まりない大魔王ですが、日本という国を睨んでいるその目はきわめて合理的理性的で小事にはこだわっていません。おそらく、日本全体、さらに世界を睨んでいた信長の戦いは、すべて、日本の真の王になるための道筋として必要な戦いだったように思います。
もし、信長が死ななかったら、日本という国は根本的に違う国家になっていたでしょう。いやあ、信長はほんとに凄い。(といいつつ、その対局にあるような武田信玄上杉謙信などの古武士ぶりにも強く惹かれるのですが)
一方、伊賀者たちは驚くほど小人数で、四万数千とまでいわれる信長軍と戦ったのですから、勝ち負けはともかく、その根性たるや、忍者も凄いです。さて、どんな物語になるのか、まだ導入部原稿五十枚ほどです。この後は担当さんと作戦会議をする予定です。

今日は「霊少女清花2」の初校を校正して返送しました。とりあえず、ひとつ済みました。六月末はアンソロジーの〆切もあるので、この先はまたまた追われそうです。