『とんがり森の魔女』

とんがり森の魔女 (講談社青い鳥文庫) 『とんがり森の魔女』 沢田俊子著
「知ってるようで知らなかった 魔女の秘密、おしえます!」
驚きました。タイトルの雰囲気から、きっと、子供向きの可愛いお話なんだろうなあと想像していたイメージは、みごとに裏切られました。もちろん、嬉しい裏切られ方です。
文章はほんとに読みやすくて、声に出して読んでみたくなります。子どもが読んで貰ったら子守歌に聞こえてしまうかもしれないと思うほど、気持ちのいい語りで書かれています。
とんがり森には代々、個性的な三代の魔女がいました。魔女の規律にも従わない自由奔放な大魔女と、変わり者のダイラ、その娘のニーナ。
そして、そのとんがり森のそばで暮らす村の人々。これらの人々の冒険の数々、喜びや悲しみ、生と死が、村のおばあさんのなんとも心温まる語りで展開されるのです。
そして、そのテーマはまさに地球の愛し方でした。
子守歌のようにベッドで一話一話聞いて、最後まで行き着いた時、読み聞かせていた母親も、読んで貰っていた子どもも同じようにびっくりして、そして感動することでしょう。大人と子どもを隔てない数少ない物語のひとつがここに誕生しました。