さようなら

昨日、物置にしている家裏へ行って、外からの目隠しに使っている葦簾(よしず)を開けてみたら、そのかげ、コンクリの上で猫が横たわっていました。
飼い猫なのか、ノラちゃんなのかわからなかったけれど、時々、うちの庭を横切っていく猫でした。
寝ているのか、病気なのかと、様子を見たら、もう冷たくかたくなっていました。
病気で死んだのかもしれません。
かわいそうに、こんな寒い夜に……病気だったなら、さぞかし寒かったろうと。
夕方なので、保険所に電話をしたら、翌日の午後になるといいます。
もう死んでしまっているので、寒さも感じないだろうけれど、一晩、コンクリの上においておくのが可哀そうで、うちの愛犬のバスタオルで包んで、段ボールに乗せ、古新聞の束をベッドにしてやりました。
お線香をあげ、合掌して、カラスにつつかれたりしていけないので、また、そっと葦簾を閉めておきました。
もうすぐ、保険所の人が来ます。
その前に、もう一度お線香をあげてきます。でも、顔は見られないな、可哀そうで。
被災した人々が沢山寒い思いをしている夜、ノラちゃんはひとりで凍えて逝きました。
さようなら、ノラちゃん。天国は春みたいにあったかいといいね。