季節風作家の新刊

シャインロード 『シャインロード』升井純子著
小樽の高校に通う三冬は就職活動の真っ最中、だが今のところ全く内定が取れないでいる。いったい自分の何がいけないんだろうとふてくされながら、ぶらぶらと歩いていた学校の帰り道にふと見つけたのは、つぶれそうな印刷屋さんの校正バイト募集の張り紙だった。就職試験の面接の意味も理解できないような三冬だったが、印刷所でのアルバイトを通じて、町の大人達とかかわっていくうちに、自分の役割や働く意味を少しずつ実感していく。amazon内容説明より)

現代の学生たちの悩み、就活。入社試験を受けても受けても採用されず。
そんな三冬が、ふとした縁で働くことになった印刷所。そのささやかな触れ合いの中で成長していく三冬がごく自然に、でも丁寧に描かれてゆきます。
人と人はどんなふうに繋がって、どんなふうに信頼を得てゆくのか。
その触れ合いが嘘のない爽やかさで描かれています。
升井さんの物語は、地に足の着いた物語。でも、夢や愛を感じられる素敵な物語でした。

おねえちゃんって、もうたいへん! (おはなしトントン) 『おねえちゃんって、もうたいへん!』いとうみく著
お母さんの再婚で突然妹ができた小学1年生のココ。妹の名前はナッちゃん、3歳。大声で叫ぶし泣くし、ダンゴムシを大事な筆箱に入れてくるし…。「かいじゅうみたい」ってココは思いました。ナッちゃんが、ココのお母さんにすっかりなついて、べったりくっつくのも面白くありません。「ママが半分になっちゃった」と、悲しい気持ちになるのです。さらに腹の立つことに、大柄なナッちゃんは、小柄なココより背が高いのでした…

幼年絵童話です。
怪獣みたいな妹と、どう付き合うのか?
おかしくて、せつなくて、ちょっと、ほろっとします。
子ども心によりそった可愛い物語。
最近、おねえちゃんになった女の子に、ぜひ読ませてあげたい。
きっと、妹が大好きになるんじゃないかな?
いとうみくさんの書く物語は、いつも、明るくてせつないです。

恋する和パティシエール2 栗むしケーキでハッピーバースデー (ポプラ物語館) 『恋する和パティシエール2 栗むしケーキでハッピーバースデー』工藤純子
元気な和菓子屋のひとり娘、如月杏(通称あんこ)は、お菓子で人の心を和ませる「和パティシエール」になるため、ただいま修業中! 秋のはじめ。幼なじみの倫也がとつぜんもちだしたものは、なんと、あんこのじっちゃんの古いラブレター(!?)その古い手紙がきっかけになって… かわいくておいしい和菓子と、友情、そしてちょっぴり恋心がつまった物語! !

このシリーズは、まず、美味しそう〜なんです。
子どもたちの憧れ、可愛くて美味しいお菓子が作れます。
でも、それだけではなく、主人公のあんこの恋の行方も気になります。
今回は、倫也のおばあちゃんが持っていた古い〜ラブレター事件!
倫也をちょっぴり意識し始めたあんこにとっては、とってもとっても気になるラブレターなのです。
おまけに、倫也のおばあちゃんはとっても美人…
謎を解くためのお菓子作りは、栗の浮島風カップケーキ! レシピもついてます〜