『アサギをよぶ声』森川成美(偕成社)

アサギをよぶ声

アサギをよぶ声

女性でありながら戦士になりたい少女アサギ。彼女の父も勇敢な戦士だった。素直な語り口で一人の少女の成長を描く長編ファンタジー
アサギの村では、十二歳になると、女の子は女屋に、男の子は男屋にはいる。女屋では、結婚のための準備に余念が無い。一方、男たちは、村を守る戦士に選ばれるための修行に励む。アサギは女でありながら、戦士になる夢をあきらめきれない。彼女は掟を破って、ハヤという戦士から教えを受けようとするのだが…。小学校高学年から。
(内容紹介より)

一人の少女アサギが、何もないところから、戦士になろうとするようすが丁寧に描かれていますが、決して退屈させません。非力な少女が、どうやって、戦士候補の剛力な少年たちに勝てるのか……はらはらしながら、応援してしまいます。
それは、主人公だけでなく、登場人物にそれぞれ深みがあって魅力的だからなのではないでしょうか。よく練られた、重厚なファンタジーの幕開けという気がします。
大長編の内の一章ともいえそうな展開なので、続編が出版されるのが楽しみです。
ついに、大型新人の登場なのか…!? と、胸がはずみます。
絵は、スカイエマさん。少女戦士のりりしさが伝わってきます。