『ハルさん』藤野恵美(創元推理文庫)

ハルさん (創元推理文庫)

ハルさん (創元推理文庫)

(瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…)結婚式の日、ハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった―児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作。(BOOKベースより)
花嫁の父となるハルさんの思い出を回想しながら、母に先立たれたふたりぼっちの父と娘の成長を描いた温かく優しい推理小説です。
ハルさんの一人娘、ふうちゃんの幼い頃から小学、中学、高校、大学生時代に至るまでのハラハラどきどきの思い出の数々を回想しつつ、ふうちゃんの結婚式へと進行していくので、いつのまにか、読者までが、若き父親であったハルさんの気持ちに取り込まれてしまい、式場では、まさにわが子が嫁ぐ瞬間のように感じてしまいます。物語というより、ハルさんの思い出の中に取り込まれてしまって、つい、ほろりと……。
文庫としては、2013年3月の発行ですが、すでに10刷が決定とか!
売れに売れています!