『月下花伝 時の橋を駆けて』と『花天新選組 君よいつの日か会おう』のこと

このたび、この二冊を取り上げてさったツイッターのお友達がいらして、そうか、そういえば、この話してなかったな〜と、思い出しました。
この二冊はシリーズになってますが、実のところ、『月下…』を気に入る読者と、『花天…』こそ!という読者に分かれます。
それは、この二冊が違う形で依頼された物語だからです。

月下花伝―時の橋を駆けて

月下花伝―時の橋を駆けて

『月下…』の方は、YAを書いて下さいとの依頼だったので、新選組を描いているのですが、時空を超えて現れた沖田総司と、現代の少女の家族の物語なのです。それは、現代少女へのYAを書いて下さいという依頼だったから。
でも、本になって出ると、読者の中で、新選組人気が熱く高まって、売れ行きも好調でした。
ならばと、続刊の依頼が来ました。
今度は、新選組を前面に押し出してもいいという許可もおりました。
そういうわけで、『花天…』については、現代の少女が、新選組の時代へタイムスリップしてしまう物語にして、新選組の面々が大活躍できるように書きました。
花天新選組―君よいつの日か会おう

花天新選組―君よいつの日か会おう

そういうわけで、シリーズ、続刊とはいえ、二冊は、やや、ジャンルが違うといってもいいのです。
YAとしての少女の葛藤や家族とのかかわりを、剣士でもある少女から描いた『月下花伝』をこそ、支持してくれる読者さんたちは確かにいて下さって、それは、濃い新選組ファンというより、この本によって新選組に興味を持って下さったという方たちです。
この本の場合は、それこそ、ふだん、新選組などに興味がなかった人たちに、新選組の魅力を知ってもらいたいと思っていた私にとっては、目標完遂といってもいい反応でした。
一方、『月下…』では物足りないと感じられた濃い新選組ファンの読者さんであっても、何か心に残るものがあって続刊として出た『花天…』を読まれて、それはもう、熱く喜んで下さいました。
「月下を書いた人とは思えない。もう号泣…感動した!」なんて新選組ファンもいらっしゃいました。つまり、月下のように、新選組物としてはやや緩い物語だろうけど、まあ、続刊だから読んでやろう…と思って下さった方々が、これこそ、読みたかった新選組だと熱く支援をして下さったのです。
「どうか、続きを! 土方最後の北の戦い編を書いてほしい!」という声は、発行からずいぶんたった今も届きます。
そのうち、このシリーズは文庫にしたいと思っているので、その時はぜひ、続きも書きたいと思ってます。というか、原稿はすこしずつ書きためてはいるのです。