『空母せたたま小学校、発進!』著/芝田勝茂・絵/倉馬奈未×ハイロン

空母せたたま小学校、発進! (ポップステップキッズ!)

空母せたたま小学校、発進! (ポップステップキッズ!)

わたしたちのせたたま小学校は豪華客船!今日、タマ川の桟橋に「やってくる」はずだった。なのに、なのに、やってきたのは、軍艦!それも、航空母艦(BOOKデータより)
破天荒です!
タマ川のほとりにあったせたたま小学校校舎が洪水で流され、その代替校舎として、急きょ用意され、川を遡ってやってきたのは、なんと航空母艦だった…というとんでもないオープニングに、唖然としつつ引き込まれて、一気に読み切った爽快ファンタジー
このとんでもない設定を考えた作者もすごいが、これを発行したそうえん社さんもすごい!と思った。
子どもが大好きな電子ゲーム「艦隊バトル」の世界が現実に…いや、現実以上の地球規模の戦いとなるあたりも、子ども心をつかむに違いない。
とはいえ、その戦いの敵は、黒いエアボールだという。
黒いエアボールは、人類が作り出し地球上に廃棄した汚染物質、放射能を中心にするダイオキシン排気ガス、化学物質、農薬、毒物などの邪悪のかたまりなのだ。このエアボールから、雨が降り注げば、その下の土地も海も、死の国となり死の海となる。
そんなものとどうやって戦うのか、戦ったところで勝てるのか……?
その続きは、ぜひ、読んで頂きたいと思います。
太平洋戦争時の日本の航空母艦ゼロ戦なども登場するが、作者のそれらを語る言葉は大きく偏ることがない。
パイロットを守る事より、速く飛ぶことだけに特化したゼロ戦の非人間性を語る一方で、当時の敵国アメリカのいかにも自国よりの見解にもやんわり釘を刺すあたり、さすがでした。
原発は是か非か、世界は何で動いているのか……隠し秘められた悪の本質がこの物語には語られています。子どもであれ、真実を知ってくれという作者の声が聞こえそうです。
アニメになれば、さぞかし、壮大な物語になるだろうな……と妄想してしまいました。