『つかさの中学生日記5 流れ星は恋のジンクス』著/宮下恵茉

(201-5)つかさの中学生日記(5) 流れ星は恋のジンクス (ポプラポケット文庫)

(201-5)つかさの中学生日記(5) 流れ星は恋のジンクス (ポプラポケット文庫)

あたし、松尾つかさ、中学1年生!1学期の期末試験も終わって、きょうから部活再開!秋の新人戦も楽しみ~…って、それどころじゃない大イベントがあるの!!それは、山の家での宿泊学習。そこで夜に一番好きな人と流れ星を見ることができたら、永遠に結ばれるんだって。あたしには好きな男子なんていないって思ってるけど、ほんとのキモチは…???中学生活をみずみずしく描くシリーズ第5弾!小学校上級~。 (BOOKデータより)
女の子の中学生生活、友達との関係、部活、そして、初恋…盛り沢山だった「つか中シリーズ」も、とうとう最終巻。
この年頃の女の子が読めば、たまらない一冊だと思います。
元気で明るい主人公つかさの鈍感ぶり(自分の気持ちに気付かな過ぎるという…)に、やきもきした読者も、今回はすっきり爽やかな気持ちになれるでしょう。

シリーズレギュラーの女子も男子もキャラクターが立っているこの作品、王子様のような「れお君」も素敵だけど、実は、私のお気に入りは関西弁の虎本君!
その虎本君は泣くか、笑うか……の最終巻! どうぞ、お楽しみに〜♪

中学生という人生で一番楽しく、でも、一面で苦しいかもしれない時期だからこそ、こんなふうに天然に楽しく、青空に抜けるような物語も必要なのです。
私自身、思春期には、人生の辛さや苦しさから逃れたくて、中学や高校への道で買った文庫本を読みまくりました。
子ども時代に児童書というものと本当の出会いをしなかったので、その頃が、私にとって本との出会いでした。ですから、当時私が読んでいたのは現代小説ではなく、日本のファンタジーともいえる時代小説でした。
昔、どの町にもあったパパママショップともいえる小さな本屋さんの「時代小説文庫本」の棚を全部制覇するぐらい読みまくりました。
当時、中高生の辛さも苦しみも抱えていた私にとっては、現実と重ならないからこそ、楽しい読書でした。でも、一方で、心の深い部分では泣きも笑いもして感動し、現実の傷や苦しみを癒してもらったとも思います。
読書というものは、明るく楽しい物語も、重く苦しい物語も、どの本を選ぶか、それは、その時の自分自身の心が手を伸ばす本でいいのです。読むことを楽しむ……それは、人生を楽しむ力を蓄えることでもあるのですから。
この物語は、思春期の女の子が、まず、手を伸ばしたくなる一冊だと思います。