[今日の本棚]『春に訪れる少女』著/今田絵里香・絵/くまおり純(文研出版)

春に訪れる少女 (文研じゅべにーる)

春に訪れる少女 (文研じゅべにーる)

かおりは、大正時代の作家森川春水の大ファン。同級生の中野くんは春水の子孫だった。二人は春水の住んでいた屋敷でタイムスリップして、春水と出会ってしまう。その後の歴史が変わり、子孫の中野くんは…。歴史は元どおりになるか? (BOOKデータより)
大好きな小説家、森川春水の生きていた大正時代へタイムスリップしてしまうかおり。この春水のペンオネームといい、佇まいといい、大正ロマンが香ってきそうなところ、さすが、作者が、研究者だけはあるなと思いました。タイムスリップ先で、とんでもない事件の企みを知ったかおりは、なんとか事件を阻止しようとしますが、なぜ起こるのかわからない時間空間の歪みに翻弄されて、思い通りに動くことができません。
その焦り、戸惑い……いったい、かおりとボーイフレンドの中野君はどうなるのか、ついハラハラさせられる展開でした。
児童文学の研究者でもある今田さんらしい、しっとり女子を愉しませてくれる一冊です。