『忍剣花百姫伝』◆ものがたりと登場人物

伝説の始まり……
時は戦国乱世。「五鬼」とよばれる五つの忍者の城があった。そのひとつ白鳥城が、正体不明の軍勢によって一夜にしてほろぼされた。なぞの軍勢はとつじょ城内に満ちて、すべての者をうち殺し、煙のように消え去った。
知らせを受けた八剣城主・八剣朱虎(やつるぎあけとら)は「八忍剣」をよび探索を命じる。
八忍剣とは、朱虎の神剣、天竜剣をはじめとする九つの神宝をまもる無敵の忍剣士たちだった。だが、その八忍剣のるすをねらい、なぞの軍勢は八剣城におそいかかった。
城は炎上し、城主朱虎は戦死、わずか四歳の花百姫は行方知れずとなった。
十年の歳月が流れ、美濃の国では、玉風一族と鳴神党の合戦がおこった。
そのさなか、ひとりの美しい女武者が戦盗人たちにとらえられた。
玉風城の火海姫(ひあまひめ)であった。
火海姫の危機をすくったのは、盗人にそだてられた少年だった……
伝説の八忍剣は誰なのか?はたして、それは敵か味方か?
【おもな登場人物】


八剣 花百姫(やつるぎ かおひめ)
  八剣城の姫君。
  落城の折、行方知れずになる。


相馬 天兵(そうま てんぺい)
  なぞの忍者の城、天外城(てんがいじょう)の剣士。
  八忍剣一ノ者。
  九郎左衛門とともに、天地剣をあやつる。


鳴神 流山(なるかみ るざん)
  玉風一族と対立する鳴神一党をひきいる荒武者。
  火海姫(ひあまひめ)に、ぞっこん惚れている。








天外 守部(てんがい もりべ)
 天外城の城主。
 もとは歴戦の忍者。
 戦場で家や親を失った孤児を城へつれ帰り、
 自分の身をまもるための武術や忍術をおしえている。
 八剣城とは深いかかわりがあるらしい。


こっぱ丸
 「金目」(きんめ)と名づけた大鷲と
 兄弟のようにそだった少年忍者。
 浮き身(うきみ)の術をつかう。


玉風 火海姫(たまかぜ ひあまひめ)
 世に聞こえた男装の麗人
 小萩の原の戦いで相馬天兵に出会い、
 自分でも気づかぬうちに恋におちる。


美女郎(みめろう)
女と見まごう美貌の忍剣士。
八忍剣三ノ者。
竜笛と小太刀舞いの名手。
秘術、飛天の法(ひてんのほう)をあやつる。


神内 小太郎(じんうち こたろう)
 天外城で育った孤児。
 今では、玉風一族の騎馬隊の隊長。








霧矢(きりや)
  幼い頃より花百姫を見まもり、花百姫の出生の秘密をにぎる忍者。
  八忍剣八ノ者。
  水天の法(すいてんのほう)をあやつる。