ほろ酔いエッセー

騎士の気概

なぜ、生きるのか。 幼い頃から問い続けてきたように思う。 確かな答えは、まだ得られない。多分、生涯つかめないのかも知れないそんなものだと、思うようにもなってきた。 知人に、京の古刹、法然院の貫主、梶田真章さんというお坊様がいらっしゃる。 この…

月湖の石           

私はいとこの栄一が好きだった。 栄一は私より二歳上。 住んでいたのは高知県の仁淀川の中流だった。 和紙の里、伊野町から、さらに奥まった、山の斜面に張り付いたような集落。 そこが栄一と私たちの祖父母の住む村でもあった。 毎年、夏休みの一週間、母と…

 関西弁はサバイバル

【子どもはいかにして関西人になっていくのか 関西弁はサバイバル】 (童話城から転載) 関西人と関東人の究極の違いは、「あほ」という言葉を理解するか否か。 あるいは「あほな奴」を愛せるか否か、そしてまた、自分自身が「あほな人間」になれるか否か…と…

あの日のラヴソング 

※以下は、以前、新聞掲載されたコラムです。(童話城より転載、一部修正)私は高知の山中で生まれた。 私には一つ上の兄と年子の弟がいたが、この弟が生まれる前に、私は母の姉夫婦(私には伯母夫婦)の元へ養女に出される。 伯母夫婦は男子がほしかったらし…

花明かりの街から

私は京都の貧しい路地裏で育ちました。 京都といえば、他府県の人はそれだけで雅なものを感じられるかも知れませんが、私の育った路地裏は、京都の中流の人たちと最下層の人たちが渾然一体となって暮らす街でした。 我が家のあった裏長屋のお隣は、三宅さん…

いま振り返りたい、癒されたい物語

原発事故とその後は、あまりに人間の心と命を軽視した経済ゲームばかりで疲れました。 傷つけられる人、子供、動物、自然より、経済が大切なんて、私には暴言にしか聞こえません。 そんな時、思い出しただけで、癒される物語、懐かしい物語、今こそ、もう一…