献本のこと

◆ここ数年、ずっと、どうしようかと悩んでいたのが献本です。ここしばらく、仕事関係だけで50〜60冊、多いときは70冊の献本をしてきたのですが、正直ここまで増えると大変です。私は今のところ年間6冊ペースで単行本を出版していますから、年間300〜400冊の本を献本することになります。
作家の方はよくご存じだと思いますが、作家の印税はだいたい10%(挿し絵なしの単行本。絵本だとこれを絵本作家と画家で折半する場合が多い。ただし例外あり)ぐらいなのです。つまり1000円の単行本だと100円が作家に入ってくる印税。絵本だと50円です。
これを送料負担で献本すると、仮に50冊献本だと5万円以上の金額になります。この5万円を本を売って稼ごうと思うと、作家の場合、何冊売らねばならないでしょうか? 
一冊100円の印税なら500冊。それだけ売ってとんとん、儲けなしなわけです(ね、考えようによっては、たった5万円。だけど、それを印税で稼ぐとなると、ちょっと目眩しません?)。つまり、日頃のボーナスも生活保障もない作家って、何十万部、何百万部売れてはじめて、人並みな生活ができるといってもいいかも。
とまあ、ベストセラー作家でもない限り、えらいことです。このえらいことをずっと続けてきたのですが、もうそろそろ考えを改める時期かなと思いました。
読みたい、買いたいと思ってもらう本を書くのが作家の仕事ですし、読みたい本は作者にきちんと印税を払ってから読むのが作家たらんとする者の心得だと私は思ってます。なので、私は必要な本は書店で買います。よほど専門的な稀少書以外は図書館で読むことはありません。というわけで、自著他著合わせて本代はどんどんかさむわけです。おそらく、私の収入の半分はこれらに消えていると思います。
それで、せめて自著の経費を削減することにしました。献本を協会や同人など最小限の団体だけにしぼろうと思います。(ごく個人的に贈る場合は例外として)
きっと「賛成! 私もそうしてるわ〜」とおっしゃるベテラン作家さんは多いのではないかとも思います。思い切って、次の新作から実行するつもりです。これまでお送りしていたのに、来なくなったのは何かあるのかなとか、どうぞ、思わないでくださいね。(いや、ほっとする方の方が多いでしょうが)
あ、でも、新人作家さんはこれを真似ないでくださいね。新人の時は、名前や作品を知って頂くために、できる限りのことはした方がいいですよ。
閑話休題。今日(いや、もう昨日か)、『まじょもりのこまじょちゃん』『こまじょちゃんとあなぼっこ』(共にポプラ社)の、中国大陸以外全世界を対象に、翻訳発行に関する契約書が届きました。といっても、今回発行されるのは香港などを含む中国語圏のようです。ともかく、こまじょちゃんシリーズも海を超えることになるようです。
まじょもりのこまじょちゃん (ポプラちいさなおなはし)こまじょちゃんとあなぼっこ (ポプラちいさなおはなし)
同社のアンソロジー原稿も本日入稿(もう昨日ですが)。ほっとしています。
先日、友人を某社へご紹介したのですが、無事、原稿を見て頂けるとのお返事を編集さんから頂き嬉しかったです。
さて、これで、色々気になっていたもろもろが、ひとまず終了。
これからは、新シリーズ1話と花百姫伝6を夏までに仕上げます。他にも書かねばならないものはあるのですが、長編の同時進行は2作までが限界なので、ひとつひとつ書くしかありません。
書店レビューなどの書き込みも、しばし封印します。(拙著ではなく他の作家さんのご本で、面白かったものを、オンライン書店などでこっそりご紹介したりしているのです>ハンドルは度々変えてますので、ご紹介している作家さんご本人もほとんどご存じありません>これが楽しい!)といっても、わたしは評論家ではありませんので「この本をみんな読んでね」といったノリの五つ星レビューばかりです。でも、次に再開するときはもっとしぼって、気心の知れているというか、気を遣うところのない作家さんだけにしようと思ったりしています。まあまあ、そのうちにですが。