新選組に恋してる!?【高知新聞記事『恋する新選組』】

三条大橋で撮った写真は風が強かったせいか泣きそうな顔に見えます。わっははといつも笑っている某雑貨ですさまとか、はっさくちゃんと大違い。なにやら恥ずかしい。でも、とても温かい記事を書いて頂いたのでご紹介致します〜(紙面からおこした文章は添付資料として送って頂いたものが基になっていますので多少言い回しが変わっている場合があります)

【大阪支社】吾川郡いの町出身の作家、越水利江子さん=京都府=は新選組の大ファン。作家仲間から「新選組に恋してるでしょ?」と言われると「少女のころからよ」と即答するほどだ。このほど新作「恋する新選組」(角川書店)を刊行し、「剣士を目指す少女の目を通して幕末の熱い心を子どもたちに伝えたい」という越水さん。作品へのこだわり、古里への思いを聞いた。(西村大典)
 越水さんが仕事を始めたのは、2児の母になってから。イラストレーターとしての出発だった。作家への転身は、書きためた短編小説を、親交のあった絵本作家の田島征三さんに見せたのがきっかけ。田島さんの勧めで(注・征三さんに紹介して貰ったわけではありません)出版社に持ち込んだらたちまちデビューが決まった。その短編集「風のラヴソング」が1995年に芸術選奨の新人賞を受賞。華々しいデビューで戸惑った時期もあったが、今では児童文学やヤングアダルトを中心に、年間6―7冊出版する売れっ子だ。
 ■司馬作品で
 新選組のファンになったのは、少女のころ、司馬遼太郎の本を読んで、登場人物の一途さに心を打たれてから。
 「恋する―」は越水さんの新選組シリーズ3作目。近藤勇の妹に設定した主人公、宮川空が若き沖田総司土方歳三、さらに坂本龍馬岡田以蔵も巻き込みながら、女剣士を目指す青春ラブストーリー。「人間が生きるとはどういうことか。どう生きれば人生に価値を見いだせるのかということを子どもたちに感じてもらいたい。親子で読んでほしいですね」
 ■山本周五郎
 中学生のころ、山本周五郎の時代小説と出会った。描き出される人物に感動し、通学途中の書店にあった文庫棚をすべて読み尽くしたという。その影響で歴史物はしっかり書きたいという越水さんの作品はフィクションでも人物像は重視する。一般的に伝わってるイメージではなく、子孫に会い現地取材をして、実像に近いキャラクターをつくる。
 「近藤勇は怖いイメージがあるのですが、とても品格のある方だったそう。歴史って勝った人たちが語ったもの。だから負け組を掘り起こすことに意義があるんです」。
 物語に登場する主要な人物は必ず複数回墓参りに行くという越水さん。「迷っていたキャラクターづくりなんかが解決する感じ。理屈じゃなくて、行かないと書けない」。資料集めにもこだわり、今回だけで幕末関係の資料を七百冊以上買い込んだ。
 ■高知が救い
 越水さんは幼いころ、京都に住む伯母夫婦の養女になった。いじめにも遭い(注・いじめは学校で。養父母には可愛がってもらいました)、悩みも深かったが、夏休みに帰る高知が救いだったという。「兄が夜遅くまで遊んでくれたんです。京都ではかぎっ子だったから、遊ぶためだけに大好きな人がいてくれることで毎日幸せでした。京都に帰るときは見送ってくれるおばあちゃんたちの姿を見ながら号泣。私にとっての故郷は「街は京都」で「人は高知」。高知の日々がなかったら違う人間になったと思います」。
 つらいことがあった少女のころ。時代小説を読むことで、内向的で屈折していた世界観の切り替えができたという。だから「今はつらくても必ずいいことがある」という思いを本に込める。執筆テーマは一貫して「愛」。「書いても書いても書き尽くせない。一生かかっても書き尽くせないと思っています」  
 こしみず・りえこ 日本YA作家クラブ会員。「風のラヴソング」で1994年日本児童文学者協会新人賞、1995年芸術選奨文部大臣新人賞。「あした出会った少年」で2005年日本児童文芸家協会賞。
2009/7/23高知新聞「学芸」紙面より(ありがとうございました!)