『ここは京まち、不思議まち』

「今日の本棚」というカテゴリーを作りました。拙著以外のご本をご紹介するのに、何かカテゴリーがないと検索される方が不便かなと思って。
ただ、送って頂いたご本、同人友人の本などはすべてご紹介したいのですが、なかなかその時間がとれないうちにどんどん在庫が増えて、とてもご紹介しきれない冊数になってしまいます。
なので、ともかく、ご紹介する時間を作り出せた時は、できるだけ新しいご本から、それに、ご紹介したことをわざわざお知らせしなくても、ここを見ていて下さっている作家さん、了解して下さるだろう作家さんのご本を優先的にご紹介しています。
というわけで、今日の本棚。
ここは京まち、不思議まち ~花娘・愛香どすぅ~ (講談社青い鳥文庫)
ここは京まち、不思議まち 花娘・愛花どすぅ』 服部千春著(講談社青い鳥文庫
京都のおじいちゃんに預けられることになった愛香は、おじいちゃんの花屋さんの喫茶コーナーで、不思議なおばあさんに出会います。その名はおとめさん。商店街の猫が、どの猫も、おとめさんにご挨拶するのも不思議ですが、黒レースのかたまりみたいなドレスを着たおとめさんの店はさらに不思議な「不思議堂」。何を売ってるのかわからないほど、店の中はごちゃごちゃ。
ゴスロリっぽい洋服があるかと思えば、ピンクの花柄ワンピースやバラのコサージュ、ビーズのバッグ、オリジナルジーンズ、とがったハイヒールのサンダル、レースのブーツ。さらに壁にはドライフラワー、ちょっと怖いような西洋人形、使い道のわからない瓶類、置き時計、宝石箱……と、摩訶不思議なお店なのです。
と、ここで一言。
不思議堂にあるごちゃごちゃした品物の一つ一つが、実は少女が大好きなもので埋めつくされているのに気づきましたか? 読者の少女はおそらくここで、作者の術中にはまります。しかし、さらに、奥の手があるのです。
おとめさんはいきなり、紫のカーテンをシャアッと開けていいます。「愛香、荷物はこんでくれたお礼に、占うてあげまひょ」と。カーテンの向こうには、ドライフラワーや数珠のようなビーズでかざられた占い室が!?
遠慮する愛香を占ったおとめさんは、食い入るように水晶玉を見つめて「な、なんで、こんなヒヨコ娘が……!?」と絶句。
さあ、ここまで読まれた方、はまりましたね。続きは、本で読んで下さいまし。猫好きなお方にもおすすめです。