山のいのち、海のいのち

テレビ・チャンピオンでしたっけ、無人島でのサバイバルを競う番組をご存じでしょうか?
あの中で、もはや、永遠のチャンピオンといっていい風格の二名良日さんは、私がデビューした頃に知り合った友人です。
二名良日さんはこんな人
その二名さんよりおはがきが届いた数日後、立松和平さんがお亡くなりになったのを知りました。立松さんの絵本のファンだったので、とても残念です。まだまだお若かったのに……。
残念でならないけれど、せめて魂だけでもこの世にいて頂きたいけれど……それはわがままですね……ご冥福をお祈りいたします。
その二名さんと立松さんは共に早稲田の出身、冒険家と作家の違いこそあれ、なにやら、似た雰囲気をかもしだされる方だったのです。
それは、自然に向かう時の感性、心意気が似ていたからではないのかと、ふと、二名さんのお便りを見て思いました。
 【二名さんの野外塾学生さんの作品、銀杏の葉のリース】
二名さんのお便りにはこんな近況報告が書かれていました。
「年明け早々、信州雪山(冬)桜切り→マレーシア・ジャングル探検(底なし沼にハマりました!)→竹ピラミッド作り→ツリーハウス作り→(寒)竹切り……の野外力動に追われています。<中略>老後は(今もすでにそうですが)、ハサミ一丁ふところに、世界の落ち葉を巻いて周り、野垂れ死にいたしたく……」
あまりに二名さんらしく、あっけらかんとした近況報告に笑ってしまいました。
年明け早々、信州の雪山へのぼって、寒の桜を切り(なぜ? 刈りこみ? リース作り? それとも……)、と思えば、いきなりマレーシアのジャングルへ行って底なし沼にハマり、そのあとは竹を伐って巨大竹ピラミッドを作り、ツリーハウス(樹上の家)まで作って、さらに、寒の竹伐り? あのう、まだ二月も始まったばかりです。ということは、ほんの一か月の間のことですか!? 
どういう体力しとんねん〜 といいたくなるこの活動は、活動ではなくまぎれもなく力動でしょうとも!
そして、老後は世界を回って、世界の落ち葉を身にまとい野垂れ死にするのを夢見ているとのお便り。二名さん、すでに60代後半なのに、この活力、並みの人間ではありません。
でも、お目にかかると、野人であることはいうまでもありませんが、一方で、とてもものやわらかな、感性のこまやかな方なのです。そのあたりを、立松和平さんと似ていると感じたのかもしれません。
それはやはり、自然に向かう魂が、そこにあらわれていたのではないかと思ったのでした。
このところ忙しくて、その二名さんにもお目にかかれず残念です。
いっしょに山へ登ったことや、ツリーハウスで遊んだことや、競馬場で当たった分け前をもらったことや、シーグラス(海辺のガラス石)や、見事なクリスマス・リースやお正月の竹リースをもらったことなど、いろいろ思い出してしまいました。
二名さん、野垂れ死にに反対はしないけど、どうか長生きしてください〜 おもわず、そういいたくて……
↓これらの絵本は、伊勢英子さんの絵が素晴らしいです。立松さんの自然観が、伊勢さんの絵を通じて深く染みいってきます。