愛してくれてありがとう〜

執筆に追われています。でも、これだけはご紹介しておかないと!
実は『忍剣花百姫伝』シリーズの担当さんから、感激のお便りが転送されてきました。
17歳の女子高生、紗希ちゃんからでした。

忍剣花百姫伝7 愛する者たち (Dream スマッシュ!) (Dreamスマッシュ!)『忍剣花百姫伝7愛する者たち』
小学校の時に、花百姫伝に出会い、こんなにおもしろい児童文庫があったのかと思いました。
推理小説ばかり読んでいた頃、こういった部類を読む気になれなかったのですが、あまりにもおもしろく、親にもすすめたりしていました。
高校生になりましたが、すごく発売が楽しみでした。
完結おめでとうございます。
素敵な作品、ありがとうございました。【紗希ちゃん/高校生】

なんと、小学生から高校生になるまで、花百姫を読み続け、発売を待ってくれた紗希ちゃん。担当さんも「涙が出るほど感動しました」とおっしゃいました。
ありがとう、紗希ちゃん
そして、もうひとつ。花百姫ファンの子たちに喜んでもらいたい書評があります。
あだちわかなさんが「季節風」に書いて下さった書評です。わかなさんのお許しを頂いたので、季節風を読んでない人にも、ここでお届けしますね。


「早く続きを、外伝を!」 あだちわかな
『忍剣花百姫伝 全7巻』ポプラ社
            越水利江子・作
               

 闇の魔王に襲われ、父を失い母と生き別れ、過酷な運命にその記憶さえ失った花百姫が、父の形見・天竜剣に導かれるように、記憶を呼び起こし、選ばれし仲間(八忍剣の者)と出会いふれあい、命をかけて魔王と対決していく史上空前の時代ファンタジー『忍剣花百姫伝』。道中には、登場人物一人ひとりが複雑に交差する人間模様や、忍剣の秘宝・呪術・時空超えの謎、魔王の正体と魔の者になった理由などが織りこめられ、一度読んだらやめられない止まらない、目の離せない展開に「早く続きを!」と願う読者が続出です。
 第一巻『めざめよ鬼神の剣』がでてから最終巻『愛する者たち』がでるまでの五年間、勤務する小学校図書室でも、花百姫伝は生徒さん同士の口コミで借りられつづけ、私は何度、生徒さんに「続きはまだですか? いつでるんですか?」と聞かれ、「もうすぐでるから待っててね」と答え、「続き、早くでてぇっ」と、共に連呼したかわかりません。最終巻が読みたくて何度も図書室に訪れていた六年生男子生徒さんは、卒業文集の『好きなもの』の欄に『忍剣花百姫伝』と記して卒業していきました。
 完結をむかえた今もその人気は衰えず、今度は「外伝はでないんですか?」「花百姫と霧矢はどうなっちゃうの? 知りたい!」と、生徒さんがつめかけます。私は一緒に「外伝を出してください」と願うしかできないにもかかわらず、「こんなにみんなが待っているんだもん、絶対でる!」と答えます。でてもでなくても涙ものです。はたして、ここまで読者の心をつかんで離さない忍剣花百姫伝の、深き魅力は何なのでしょう。

 花百姫は、記憶を失って捨て丸として生きていた頃、天竜剣を奪って捨て丸を売り飛ばそうとする盗賊の命さえ大切に思う、強くて優しい魂の持ち主でした。その魂は、怨霊をあやつる魔王に襲われ、身を滅ぼす燐光石の呪いを受けても、愛する者を失って絶望と憎しみに押しつぶされそうになっても汚されることなく、魔は愛で癒すものだと、自分たちに出来ることは地球がそそいでくれる愛を大切にすることだと、明日への希望を見出していきます。その魂は、世から消え去らない戦争に対して、人類はどう考えてどう行動したらいいかを示すくらい、大いなるものでした。
 それは、日々、親の離婚、病気・ケガ、死別、いじめなど、さまざまな事情を抱えながら頑張って生きている読者にとって、自分が今抱えている問題にどう対処していいのかを教えてくれる、生きるための道しるべであり、一歩間違えれば魔にとらわれてしまいそうになる心の、欠かすことの出来ない支えでありました。
 だから読者は花百姫に自分を重ね、登場人物を、物語を、より深く愛し、その行く末を知りたいと、強く願うのではないでしょうか。
 少々、硬くなってしまいましたが、最後にひとつ。忍剣花百姫伝は、女子生徒さんだけでなく男子生徒さんにも人気があります。その理由を男子生徒さんに問いましたところ、こんな答えが返ってきました。「だってさぁ、花百姫はさぁ、萌えキャラなんだよなー」。言ってから照れくさそうに目をそらした生徒さんの、なんと可愛らしいことでしょう。
 みんな大好き、愛しき『忍剣花百姫伝』、今日もみんなで祈ります、
「早く続きを、外伝を!」。