『くらやみざか 闇の絵巻』著/天沼春樹(西村書店)
- 作者: 天沼春樹
- 出版社/メーカー: 西村書店
- 発売日: 2015/03/07
- メディア: 単行本
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主人公のイメージに、作者が浮かんでしまうほど、リアルに伝わってきた幻想譚だった。
登場する人々は、どの女も男も摩訶不思議なのに、浮かんでくるイメージがリアルなのは、作者の筆力に違いないのだけれど、いや、もしやこれは、実際に作者が観た白昼夢なのかもしれない……などと思ってしまう。
いかに摩訶不思議な話を書いても、人物がリアルに立ち上がってくる……これこそが作家、天沼春樹なのかもしれないと思う。
「帰りつかない夢ばかりみている…」という一言から幕を開けるこの小説を読んでいると、読者自身が帰りつかない夢を見ているような世界に引きずり込まれ、読み終えて尚、日常に帰りつけないような気がしてくる。
小説の中の様々なピース、イメージのかけらが心に残ってしまうからだ。
しばしの異界旅行を楽しみたい方は、どうぞ、手に取ってみて下さい。