『ど根性ひまわりのき〜ぼうちゃん』著/漆原智良 絵/さくらせかい(第三文明社)

ど根性ひまわりのき~ぼうちゃん

ど根性ひまわりのき~ぼうちゃん

幸せの黄色いひまわり、き~ぼうちゃん! みんなに希望をとどけるひまわり、き~ぼうちゃん! きれいな花を咲かせてね!──東日本大震災被災地のがれきの中から芽を出したひまわりの種のエピソードに基づく創作物語(オールカラー、小学校中学年から)。(BOOKデータより)
3.11東北大震災の瓦礫の隙間から、海水がまじった土壌から、ど根性ひまわりは芽を出して、大きな太陽のような花を咲かせました。
この絵本は、そのひまわりを見守った人々と、強くたくましく成長するひまわりの物語です。
被災地から、全国へ、さらに世界へと拡がり、花を咲かせていくのは、命の力なのです。命こそ、命を励まし支えてくれるものなのです。声なき命を護って育てて、未来に繋いでいくのは、ひまわりも人間も同じです。
この物語には、生きようとするひまわりを踏みつける人間は登場しませんが、現実の世界、特に人間の世界には、そういう人がいることも確かです。では、そういうひとと、愛のある人をどう見分ければいいのでしょう?
一見正しく見えるような事をいう人の足元を想像して下さい。その人は、これから伸びようとする命、健康にのびのびと生きていこうとする子どもたちの命を踏みつぶしていないでしょうか?
経済だの、便利な生活などより大切なのは、命を健康に育むことです。
人が健康に生きるためには、ある程度の経済力が必要なことは否定しませんが、それは、際限なくお金持ちになることでもなく、自然を修復不可能なほど壊してまで便利になることでもありません。
しいたげられた森や動物を含めた他者への愛を見失わないことこそ、人が人として生きてゆくことではないでしょうか? 
つい、そんなことまで考えさせられた絵本でした。