「ぼくの友だち」高橋秀雄

ぼくの友だち (文研ブックランド)
高橋秀雄さんの少年時代が素材になっている物語。
「こんな『鈍くさい』ところを、地べたを這うように、誠実に書く作家は、高橋秀雄最上一平くらいしかいないのではないでしょうか。」と、書かれたのは作家の加藤純子さんです。(↓加藤さんのブログ)
http://blog.goo.ne.jp/junko_blog/
あんまり的確なんで、思わず笑ってしまいました。
そうなのです。全国最大の児童文学同人誌「季節風」で、栃木のヤボキングと呼ばれている篤実な作家が高橋さんです。そう、高橋さんの作品は都会の匂いはしません。おしゃれなファッションも、刺激的な風俗も描かれることはありません。今流行のヤングアダルト風の、繊細でわがままな都会の子どもたちも登場しません。ただ、どこまでも、地を這うように、誠実に子どもの心に寄り添って描かれるのです。
読み始めた時は、登場人物を「なんだ、かっこわるい奴ら」と思うかもしれません。でも、読み終わった時は、本当のかっこよさ、本当の友情が見えてくることでしょう。
日本中のいじめられている子たちに、この物語に登場する小野君がいてくれたら、どんなにいいだろうと思いました。
高橋秀雄さんの優しさに満ちた物語でした。