星鏡の渓谷・宇宙を映した神の山・「忍剣花百姫伝の舞台4」

『忍剣花百姫7愛する者たち』の舞台のモデルとなった聖地です。
去年の夏、取材に行って、この雄大な景色、古代のロマンを目にした時、完結編の物語がはっきりと私の中に浮かびました。
【神野山から】
竜王岩】
【八畳岩】
信じられますか? この磐座(いわくら)一つ一つが、宇宙の星々をそのまま映しとったものだなんて!
この神野山(こうのやま)は、車でないと行けません。京都からだと、車で行っても、片道4,5時間かかります。
でも、この地に立った時、私は感じました。「ああ、この地に呼ばれたのだな……」と。
それほどに、私が書こうとしている完結編の物語が鮮やかに立ちあがってくるような聖地でした。
ダイナミックな、古代の風景がそのままのこっているような山だったのです。
なにより、鍋倉渓(なべくらけい)と呼ばれる黒い巨石がごろごろ転がっている渓谷は圧巻です。
黒い岩の一つ一つは星々をあらわし、鍋倉渓谷全体が天の川をあらわしていると考えられています。
【鍋倉渓/奈良県山添村パンフより】
【鍋倉渓・天狗岩・八畳岩】
その天の川の周囲に、「わし座のアルタイル」をあらわした天狗岩、「琴座のベガ」をあらわした八畳岩、「白鳥座のデネブ」をあらわした磐座、王塚があります。
そう、夏の大三角形です。
そのほか、北極星をあらわした磐座などもみつかっており、今も新たな磐座の研究が進んでいます。
そして、旧暦7月7日頃(太陽暦だと8月頃)には、宇宙の星々の位置が、この神野山の磐座の位置とぴったり重なるのだそうです。
宇宙を地上に映すなんて、古代の人々の想像力の凄さに圧倒されます。
【王塚・神野寺
そうなのです。花百姫伝は日本の風土、歴史、古代のロマンから生まれた和製ファンタジーそのものなのです。
花百姫伝の1巻から7巻まで、その舞台には必ずモデルとなった土地があり、伝説があり、民族の歴史があります。
私は、それら、深く鈍くかがやく錦糸銀糸の歴史の糸を編みこんで、美しい帯地を織り上げるように物語をつなげていきました。
そうして仕上がったのが花百姫の物語でした。日本というこの国は、なんと豊かな歴史があることでしょうか。ロマンがあることでしょうか。
そんな一つ一つに気づいてほしくて、この物語を書いたような気がします。
忍剣花百姫伝7 愛する者たち (Dream スマッシュ!) (Dreamスマッシュ!)『忍剣花百姫伝』シリーズのページ
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